新旧ロマンスカーが夢の共演「小田急ファミリー鉄道展2019」現地ルポ
小田急電鉄では、毎年恒例の「小田急ファミリー鉄道展2019」が海老名電車基地(第1会場)、ビナウォーク・海老名中央公園(第2会場)で開催された。5月とは思えぬ炎天下のなか、家族連れやレールファンなどでにぎわった。
小田急ファミリー鉄道展は例年10月の土・日曜日に開催しているが、2019年は海老名駅西口の開発工事、車両の整理、スケジュールの関係で、5月25・26日の開催となった。
第1回・第62回のブルーリボン賞車両が並ぶ
今回の目玉は、小田急ロマンスカーの礎といえる初代3000形SE(「Super Express」の略。ちなみに2代目は現役の通勤形電車)と最新の70000形GSE(「Graceful Super Express」の略)が展示されたこと。いずれも鉄道友の会「ブルーリボン賞」を受賞した。
この組み合わせについて、小田急広報によると「GSEという新しいロマンスカーと、1番歴史のあるSEを並べることで、GSEをみなさんに知っていただいて、ぜひ乗っていただきたいという想いで展示させていただいております」という。
3000形と70000形、夢の顔合わせが実現
初代3000形SEは1957年に8両編成でデビュー。国鉄東海道本線の走行試験でMAX145km/hをたたき出し、東海道新幹線初代車両0系の開発につながった名車だ。
その後、国鉄御殿場線(分割民営化後はJR東海が管轄)の乗り入れに対応するため、5両編成に組み直され、前面デザインなども変更。長らく連絡急行(現・特急)〈あさぎり〉に運用されていたが、1991年3月16日のダイヤ改正で定期運用を退き、1992年に引退した。
その後、5両編成中、2両がデビュー時の姿に復元され、海老名車両基地内の特設建屋で静態保存。引退後も社員が定期的に塗装し、小田急ファミリー鉄道展に顔を出していたが、2008年以降は出番がなかった。
運転車両部によると、12年ぶりに展示されることになったのは、ロマンスカーミュージアムを作るための準備だという。その工事時期が、2019年から設定されていたのだ。社員でも初代3000形SEを太陽の下で撮影する機会は少ないそうで、「せっかくなら、そこ(小田急ファミリー鉄道展)でやろうよ」と。
復元工事により、初代3000形SEの顔が2つになり、「最新(70000形GSE)のを並べると、なお面白い」という構想は、タイミングがたまたま合い、夢の顔合わせが実現した。ちなみに70000形GSEは2017年に登場し、初代3000形SEとは“年の差60”である。