禁煙規制で「国内のたばこ市場」はどうなった?決算書から読み解く
経営者目線で仕事ができる、経営のイロハを学べることを期待してコンサルティング会社に入社する方々がいます。
学生に人気の就職先、コンサルティング業界の意外と知らない事実を教えるこの連載。前回は財務諸表の3表のひとつである損益計算書の、売上総利益や営業利益など「5つの利益」を紹介しました。
この知識だけでも企業の経営状態を理解することは可能です。例えばネガティブなニュースばかりが目につく企業でも実際の経営状態は良好である場合があります。売上総利益や営業利益などの基本的な項目を確認するだけでも、企業の実態を見抜き背景の理由や企業の戦略を読み解くことが可能です。
今回は、日本たばこ産業株式会社(以下、JT)の損益計算書の数値を実際に見ることでこの点を確認していきたいと思います。
【第12回】会計知識 – 損益計算書の実例「日本たばこ産業」
2019年3月には、すかいらーくホールディングス傘下の全店舗(約3200店)が全面禁煙化となりました。2018年10月にはたばこ税の増税(20本あたり20円)がなされたことも記憶に新しいでしょう。増税、禁煙規制を背景に喫煙人口が減ることで、国内のたばこ市場は縮小する一方です。
たばこ産業にかかわるニュースはこのようにネガティブなものが多いですが、JTの損益計算書を見ると意外にも中長期的には当期利益は成長しつづけています。その理由を、損益計算書の数字をたどりながら探っていきましょう。
売上高および各種利益が成長しているJT
JTのHPで公開されている過去6年分の損益計算書の数値からは、売上高は年平均で1.2%成長しており、法人税等を除いたあとの最も重要な当期純利益も年平均で1.1%程度成長していることがわかります。
国内のたばこ市場が縮小し続けていることを踏まえると大いに健闘しているといえるでしょう。
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