今の20代は退職金をもらえない? ゴールドマン・サックス出身のベンチャーCEOがアドバイス
1年3か月ぶりに2万円の大台を割った日経平均株価。アメリカ株式相場が大幅下落し、悲観ムードが漂っている。
10年ぶりのネット証券新規参入で話題となったFOLIO(フォリオ)。創業者の甲斐真一郎CEO(37)は京大在学中にプロボクサーとして活躍、ゴールドマン・サックスに入社した異色の経歴の持ち主です。
インタビューの前編では同社の「テーマ投資」について話を聞きました。後編では起業に至った経緯や、今の20代への副業アドバイス、老後問題までざっくばらんにお伺いします。
ゴールドマン・サックスに入社したのは、必然
――京大卒業後はゴールドマンサックスに入社されてますが、もともと金融志望だったのですか?
甲斐真一郎(以下、甲斐):法学部だったので、バックグラウンド的には金融というわけでもなかったのですが、両親が証券会社勤務だったこともあり、小さい頃から株式相場は身近な存在でした。なのでゴールドマン・サックスに入社したのは、必然だったのかなとも思ってます。
――相場に関する原体験はありますか?
甲斐:父が証券営業マンをやってて、株が下がるとお客さんが損するから物凄く機嫌が悪くなるんですよ(笑)。だから僕は家に帰ったら、まず母に「今日の株価が上がったか下がったか」を確認してました。
それで今晩、帰ってくる父の機嫌がいいか悪いか予測できる。幼稚園の年長の頃からそんな感じでした。ちなみに父は大のヤクルトファンなので、相場が下がってヤクルトが負けた日は最悪でしたね(笑)。
FinTech(フィンテック)の波を感じて起業を決意
――外資系金融機関を辞めて起業に至ったのはなぜなのでしょうか。
甲斐:もともとトレーダーという職業は、個人商店みたいなところがあって、自分で考えて実行して結果を出す世界。なので、働き方としては起業家とそれほど変わらないんです。直接のキッカケになったのが2014年にアメリカでフィンテックの流れが来ていると感じたことです。当時の日本ではそこまでフィンテックの知名度がない頃です。
――その当時、アメリカではどのようなことが起きてましたか?
甲斐:「レンディングクラブ」というスタートアップ企業が、個人間融資という、これまで聞いたこともないビジネスモデルで、NY市場に上場したんです。しかも、その後に時価総額1兆円をつけて、アメリカではニュースで大きく取り上げられました。僕はトレーダーの仕事をしてたので、海外のニュースソースに触れ続けてたから、「なんじゃ、こりゃ」と衝撃を受けるわけですよ。でも日本では全く話題になってない。
さらに深掘りしていくと、レンディング以外にも、ブロックチェーンやロボアドなど新しいビジネスモデルの存在も知りました。「この流れは確実に日本に来るな。来ざるを得ないな」と確信するにいたりました。
――フィンテックのさまざまな分野からネット証券を選んだ理由は?
甲斐:当初は3つのビジネス領域を候補に考えてました。ひとつは資産運用サービス、ひとつは海外送金サービス、もうひとつはブロックチェーン。これは僕が日本で体験として持ってる課題感として、資産運用と海外送金の存在が大きかったからです。あとブロックチェーンは「すごい仕組みだ、確実に来る」という確信が持てたから。