新卒3年目でトップの不動産営業マンに聞く「売れるテク」がすさまじい
で、そのマンション買って儲かるんか?
どんなマンションを提案するんですか? 聞いてみました。
「向こうから、『夢の実現のためにマンションを買いたい』と言ってきたらもうしめたものです。これは私がお客様に提案した資料ですが、山手線の内側で3軒、横浜で3軒の合計6軒の区分中古ワンルームが入ってます。これ、全部買ってもらいます」
えっ、まずは1軒から勧めるんじゃないんですか?
「6ついっぺんに売ります。お客様の与信がもったいない。最初からパンパンにします」(※2)
その資料を見せてもらえませんか?……なるほど、6軒買って月々のキャッシュフローがプラス3万円って書いてありますけど?
「ああ、この資料の計算には固定資産税が入ってません。だから詳しく計算すれば赤字になるんです。お客様もそれは納得済みです。団信(団体信用生命保険)に入りますからこれは2億円近い生命保険に入るのと同じです。でも、損ではないんです。これでお客様の人生が変わる。私は本気で思って提案してますし、買うお客様自身が信じてますから」
顧客が納得しているならダマシではないですが、僕なら納得しません。おそるべし営業マジックです。
※2 ワンルーム不動産業者からすると「お客様の属性で銀行が最大貸してくれそうな額=物件を押し込める最大枠」となります。つまり、最初からその人が買える限界まで買ってもらうということです
投資対象から感動グッズにすり替わった
自分自身が間違いなく良いものと思って提案する。だから買い手にも伝わる。Tさんは「自己確信」のスキルが強いのだと思います。そうでなければキャッシュフロー赤字の物件を本気で勧められません。
しかし、なんか物件を買うというよりも金融商品に近い気がしてきました。で、それを買ってもまったく儲からないと。でも、儲からなくていい。生命保険に入る効果を強調して、保険料を支払うのと同じだと納得させる。
「先日、私からまとめて物件を購入されたお客さんから電話がかかってきたんですよ。しばらくぶりだったので、どうしたのかな? と思ったら、向こうでお客さんが泣いてて。『Tさんのおかげで、僕、変われました』って言うんですよ。感動しましたね」
なるほど、ワンルームマンションは投資対象から感動グッズにすり替わったんですね。人が自分の殻を破るきっかけになったのなら、買ってもそりゃ後悔しないかもしれません(将来、冷静になったときに後悔するかもしれませんが)。