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猫が店員の本屋さん。猫好きサラリーマンが実現した夢と働き方

学び

 2017年8月、東京・三軒茶屋にオープンした猫の本の専門店「Cat’s Meow Books(キャッツミャウブックス)」。置かれている本はすべて猫に関連する本で、店内には元保護猫が「店員」として常駐。そして、売り上げの10%が保護猫団体へ寄付されるという、前代未聞の本屋さんです。

猫本屋

「Cat’s Meow Books(キャッツ ミャウ ブックス)」の店員は猫

 店主の安村正也さん(50歳)は、外資系マーケティングリサーチ会社で働くサラリーマン。いわゆる“パラレルキャリア”を実践し、昼間は奥様にお店を任せ、終業後と休日にお店に立つというスタイルで書店運営を成り立たせています。

 パラレルキャリアとは、ひとことで言えば「本業と並行してもうひとつの仕事や社外活動を行うこと」。お金を稼ぐことにこだわらず、やりがいや楽しさが優先されることが従来の“副業”とは違うところで、昨今注目を集めている新しい働き方です。

 安村さんは、なぜパラレルキャリアという働き方を選んだのか。そこに至るまでの経緯と、いざ実践してみての心境を語ってもらいました。

意識が低く、ふらふら転職ばかりしていた20代

――ノンフィクションライターの井上理津子さんの著書『夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books』(ホーム社)にも安村さんの経歴や書店開業までのあれこれが書かれていますが、そもそもいまの会社に勤めるまで職を転々とされていたんですよね?

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『夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books』(ホーム社)

安村正也(以下、安村):実は10回以上転職してるんです。描くべくキャリアパスもなく、ただふらふらしてて。本当に、20代の頃の自分はアホだったなと思いますね。大学時代も、一斉に就活を始めた大学のゼミ仲間を見ながら、自分の意識の低さに愕然としてました。

――安村さんの世代だと、新卒で入った会社にずっと勤めている人も多いですよね。

安村:多いですね。特に僕のゼミ仲間は最初から大手に入った人が多くて、そこそこいい給料をもらうし、すぐに転職するという発想がないんですよね。そんななかで自分はコロコロ会社を変えていて、ものすごくはみ出た人間という感じでした。

――転職を重ねたのは仕事内容が合わなかったからですか?

安村:そうですね。やりたいことがハッキリとあって入社していたら違うんでしょうけど、そうじゃないのでしがみつく根性がなかったんです。

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