被害総額15億円!実名で語る地面師の素顔「麻布十番の上島珈琲で…」/#全宅ツイ
地面師逮捕の瞬間に立ち会う
たまたま知り合った人が後で地面師と判明するパターン以外に、最初から騙すつもりで接触してくる地面師にも遭遇しているテツクルさん。その場合警察に通報することも。
「以前、相場の7割程度で都内の不動産を売りたいという売主を紹介してもらい、弁護士事務所で会うことになりました。話を持ってきたブローカーと弁護士が商談を仕切るんですが、やけに手際が良くて、やたらと決済を急かすのに違和感がありました。しかも、売主だと紹介された人物が自主的に話すことが一切なくて置物状態。これも不自然だと感じました」
さらに、売却したい不動産の不自然さもテツクルさんの疑いを深めます。
「売る予定だという不動産は、抵当権などが全く打たれてないきれいな状態。これは地面師にとって非常に扱いやすい不動産です。さらに、大きな借金をしているわけでもない売主が安値で現金化を急ぐのも怪しいと思い、売主の運転免許証のコピーを取って念のため警察署で照会してもらいました。そうしたら偽造された免許証だとわかりました」
警察からの要請もあり、そのまま地面師に騙されたフリを演じ続けることになったテツクルさん。そうとは知らない犯人グループからは、決済日時と場所の連絡が入ります。
まるで何かのコントみたいな逮捕劇
「地面師が指定してきたのは某ホテルでした。弊社からは3人で伺うと伝えてあって、私以外に、金主役、金庫番役として刑事さん2名に同席してもらいました。金主役の刑事さんが、『いやあ、金持ちに見えないと疑われるから一張羅で来たよ』と言ってド派手なスーツにストール巻いてホテルにやって来たのは笑いましたね」
決済会場のラウンジは、ティータイムを楽しむ人や、商談をするビジネスマンの姿が。一見、何の変哲もない光景かと思いきや、同席する刑事から説明を受けたテツクルさんは驚くことに。
「ラウンジにいるほとんどのお客が刑事だと事前に教えてもらいました。ホテルのエントランスにいる待ち合わせ風の人まで刑事さんで、さらにホテルの外に待機している人まで入れると数十人体制です。対する地面師の関係者は、別の場所で待機していたのを含めて5、6人でした」
万全の態勢のなか逮捕の瞬間が訪れます。
「こちらの協力者である司法書士が、『それでは本人確認のため、運転免許証をおねがいします』と伝えて地面師が提示したら、周りの刑事さんたちが一斉に立ち上がり、『警察です』『警察だ!』『私も警察です』『はい私もです!』と次々に警察手帳を出していくので、まるで何かのコントみたいでした。周りの一般のお客さんも驚いてましたね」
こうして大きな混乱もなく無事に地面師は御用になったといいます。
「貴重な経験をさせてもらいましたが、その後も事情聴取で1日潰れたので、大変でしたよ」