“オフレコ”って言えばセーフ?企業秘密や社外秘を漏らすことの法的責任を弁護士が解説!

会社に所属していれば、一つや二つは外部に漏らしてはいけない社外秘情報はもっているもの。ただ“秘密”と言われると、話したくなってしまうのが人の性です。飲み会や喫煙所、自宅などで、親しい友人や家族に「オフレコだけど…」と、企業秘密を伝えることは、規則や法律に抵触しないのでしょうか? 今回はそんなシーンについて、アディーレ法律事務所の正木裕美 弁護士に尋ねてみました!
Q1.信頼している友人や家族に対して社外秘を話すのは法律に抵触する?

信頼している相手であっても、職務上知りえた秘密情報については、不正競争防止法や労働契約による規制が及ぶ可能性があります。
不正競争防止法に規制の対象となる「営業秘密」は、社内で明確に秘密として管理されている、公然と知られていない事業活動に有用な技術上又は営業上の秘密のことを言います。
そして、業務上自分が取り扱っている営業秘密を、不正な利益を得たり会社に損害を与えたりする目的で開示すると、不正競争防止法違反として、10年以下の拘禁刑もしくは2000万円以下の罰金またはその両方という厳しい刑罰が科される可能性があります。
もし不正競争防止法の条件を満たさない企業秘密であっても、会社に雇われている間、つまり会社との間の労働契約が成立している間は、労働契約の付随義務として、会社の承諾なく使用や開示をしないという秘密保持義務を負っています。
また、多くの会社の就業規則でも秘密保持義務が定められていますので、企業秘密を話してしまうと秘密保持義務違反となり、懲戒処分や損害賠償請求を受ける可能性があります。
その情報が上場会社の投資家に大きな影響を与えるような重要事実(合併、行政処分、決算情報など)だったときは、話した相手がその情報を利用して株取引した場合、金融商取引法違反(インサイダー取引)として立件されるおそれもあります。
さらに、一部の職業には限られますが、他人の秘密を知る立場にある医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人、宗教・祈祷・祭祀職の場合、正当な理由なく職務で知った秘密を話してしまうと秘密漏示罪となり、6か月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
いずれにせよ、共有を許されている相手以外に秘密を話すことは非常にリスクの高い行為です。
Q2.もう辞めた会社の話なら、守秘義務は消えたと思っていい?

必ずしも義務が消えているとは限らず、退職したからといって安易に話してしまうことはリスクがあります。
まず、不正競争防止法や秘密漏洩罪は、退職後やその職業を離れた後も対象となります。
これらに該当しない場合でも、退職後も秘密保持義務を負うことが就業規則で定められている、別途誓約書を作成しているなど法的な根拠がある場合は、退職後も秘密保持義務が認められることがあります。
ただし、無制限に認められてしまうと退職後の従業員の職業選択の自由や営業の自由を不当に制限してしまうため、情報の性質や重要性、退職前の地位などを考慮して必要性や合理性が認められる限度であれば退職後に秘密保持義務を課すことも有効とされています。
Q3.相手から聞いた企業秘密を第三者に話してもいい?
不正競争防止法では、相手が不正の手段によって得た営業秘密だと知っていた、もしくは後から知った(重過失により知らないときを含む)にもかかわらず、その情報を使用したり開示したりする行為も不正競争防止法違反となります。
企業秘密の漏洩は、転職の場だけでなく、家庭内や飲み会などのプライベートの場でも起きがちです。
自分の会社のことじゃないから大丈夫、バレないから大丈夫などと安易に考えず、トラブルに巻き込まれないためには、企業秘密を聞いてしまってもその情報を使ったり広めたりしないのが賢明です。

■担当弁護士プロフィール
アディーレ法律事務所 正木裕美 弁護士
一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。
アディーレ法律事務所HP: https://www.official.adire.jp/