物価高の社会に挑む!福利厚生がもたらす従業員・企業・社会への恩恵と可能性【#第3の賃上げアクション2026】

2026年2月12日(木)、食事補助サービスを展開する株式会社エデンレッドジャパン本社にて、「#第3の賃上げアクション2026」発表会が開催された。同社に加え、福利厚生サービスを展開するフリー株式会社、旅行特化型福利厚生を手がける株式会社リゾートワークスが登壇し、賃上げと福利厚生を組み合わせた“ハイブリッド型の手取り向上策”を提案した。
給料を上げるよりも手取りが増える│福利厚生が注目されている理由
平均5%超と30年ぶりの高水準となった2025年の春闘。しかし、過去最高値を記録したコメ価格をはじめ、食料品や生活必需品の物価上昇が続き、名目賃金が上がっても生活が楽になったという実感は乏しい。

エデンレッドジャパンらがビジネスパーソンを対象に実施した調査によれば、手取り額の上昇を「実感できない」と回答した人は87%超にのぼり、別調査では「賃上げでは生活は改善しない」と返答し、額面上の賃上げと生活実感の間にギャップを感じていることになる。
実質賃金の伸び悩みが続く中で、「上がっているはずなのに余裕がない」という心理的違和感が広がっているのが現状だ。
そこで注目されているのが、「第3の賃上げ」と位置づけられる福利厚生の活用である。
かつては給与とは別の“付加価値”や“おまけ”と見なされがちだった福利厚生だが、現在では実質的な可処分所得を補完する生活支援策として再評価が進んでいる。その背景には、税制上の優遇措置という明確な制度メリットが存在する。
大きな要因のひとつが、一定の条件下で非課税扱いとなる点だ。
非課税枠拡大がもたらすインパクト

例えば、エデンレッドジャパンが展開する食事補助サービスは、企業と従業員が一定割合で費用を負担するなどの要件を満たすことで、非課税枠内での運用が可能となる。
2026年度の税制改正では、食事補助の非課税限度額が従来の月3,500円から月7,500円へと引き上げられることが見込まれている。これにより、従業員1人あたり年間最大9万円相当が非課税で支給可能となる計算になる。
仮に同額を給与として支給した場合、所得税や住民税、社会保険料が差し引かれるため、実際の手取りは目減りする。一方で福利厚生として支給すれば、税負担を抑えながら実質的な可処分所得を高めることができる。企業にとっても、単純なベースアップに比べてコスト効率の高い支援策となる。
同社の導入企業数は2021年同期比で約13倍に拡大しており、とくに中小企業を中心に活用が進んでいるという。物価上昇局面における“生活防衛型福利厚生”としてのニーズが高まっていることがうかがえる。
福利厚生が与える恩恵は社会・企業にも
福利厚生の拡充は、従業員の手取り実感を高めるだけではなく、企業、そして社会の経済活動にも波及する。

リゾートワークスのサービスでは、従業員が全国の宿泊施設を割引価格で利用できる仕組みを提供している。同社は契約宿泊施設の客室を通年で一定数確保することで、最大80%割引となる格安プランを実現。その結果、宿泊施設側には閑散期や平日においても安定した収益が生まれ、空室対策につながる。
観光産業は繁忙期と閑散期の差が大きい産業構造を抱えている。福利厚生を通じた需要の平準化は、宿泊施設のみならず、周辺の飲食店や交通機関、土産物店などへの消費波及効果も期待される。従業員の“余暇消費”が地域経済を支える循環を生み出す可能性がある。

また、エデンレッドジャパンの天野氏は社会への影響について次のように語る。
「加盟していただいているコンビニや飲食店からは、物価高が続く中でも、日常的に利用される食事支援の仕組みとして安定した利用が見込める点に期待の声をいただいています。チケットレストランを通して働く方々の毎日の食を支えながら、従業員、企業、飲食店の“三方よし”を実現し、日本全体への経済波及効果をもたらす仕組みとして、加盟店様とともに価値を高めていきたいと考えています」
福利厚生は、企業内に閉じた制度ではなく、外部経済とも接続するインフラとしての側面を持ち始めている。
企業側のメリットという視点
一方で、福利厚生を拡充することでの企業側メリットも大いにある。
人材の流動化が進む現代社会では、企業側はいかに従業員を定着させるかが重要な経営課題となっている。前述した手取り額の向上に加え、福利厚生の充実は「会社が生活を支えてくれている」という心理的安心感につながる。これはエンゲージメント向上や帰属意識の醸成に寄与し、結果として離職率の抑制にもつながる可能性がある。

登壇した賛同企業からは、「企業としては数千円を昇給するだけでも固定費としては大きなリスクになるが、従業員にとっては実感が乏しい場合もある。福利厚生を導入することで、会社に守られているという認識や、企業としての魅力・付加価値を具体的に伝えることができる。少額利用ができるサービスも多く、どちらの立場にもメリットはがある」との声もあがった。
名目賃金の上昇だけでは生活実感を十分に押し上げられない時代において、福利厚生を活用した「第3の賃上げ」は、企業と従業員双方にとって現実的な選択肢となりつつある。
賃上げか、コスト抑制かという二項対立ではなく、制度を活用しながら実質的な手取りをどう高めるか。その問いに対する一つの解として、福利厚生の役割は今後さらに注目を集めそうだ。
[土田洋祐]