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拡大するラーメン店市場!他業態からの参入も増加【やさしいニュースワード解説】

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拡大するラーメン店市場!他業態からの参入も増加【やさしいニュースワード解説】

在京の大手メディアで取材記者歴30年、海外駐在経験もあるジャーナリストが時事ニュースをやさしく解説。今回は、「拡大するラーメン店市場」です。

ラーメンチェーン店は10年前の20%以上増加

ラーメンの愛好家ならずとも、最近、街中でいろいろな種類のラーメン店を見かけることが多くなったことに気づいている方も多いでしょう。そうした印象を裏付ける調査結果を、信用調査会社の帝国データバンク(TDB)がこのほどまとめました。

それによりますと、全国のチェーン店のほかご当地ラーメン店などを含む「ラーメン店市場」(事業者売上高ベース)は、2024年度の見込み値で7,900億円規模に達する見通しで、10年前の2014年度の5,066億円から56%増加し、集計可能な2010年以降で過去最高を更新するとのことです。

このうち、売上高上位50社の主なチェーン店の店舗数は、2024年度末で推計6,200店舗となり、10年前の5,043店と比べると20%以上増えた計算になります。いわゆる「家系ラーメン」や豚骨ラーメンなどのチェーン店で積極的な出店が続いたことが、市場規模の拡大や店舗数の増加に影響しているとTDBは分析しています。

大手と中小の間で収益力は二極化、他業種からの参入も

ラーメンの値段については、1杯の価格を1,000円以上にしにくい「1,000円の壁」が長らく意識されてきました。しかし、近年の物価高を反映して、ラーメンに必要な麺やメンマ、豚肉、油脂などのコストが大きく上昇したことで値上げを余儀なくされるケースも多く、最近では1,000円を超える価格設定の店も増えてきています。

値上げで客単価が上昇することで経営が収益改善に向かう効果もあります。TDBによると2024年度「ラーメン店」の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は62件となり、過去最多となった2023年度の72件から3年ぶりに減少しました。

倒産した多くは中小・個人店で、原材料費や人件費などの上昇に価格転嫁が追いつかずに経営が行き詰まるケースが多いとのことです。チェーン店が、大規模な仕入れや効率化の徹底でコストを削減して利益を確保することと比べると、大手と中小の間で収益力は二極化しているとTDBは指摘しています。

ラーメン市場をめぐっては、これまでラーメンを扱っていなかった回転すしや居酒屋、ファミレス、牛丼など他業種からの参入が続いています。他の料理に比べて扱う食材が限られていて、作り方も統一的なマニュアル化がしやすい側面があるからです。

さらに近年の訪日観光客の増加も追い風となって世界各地で日本のラーメン人気は高まっており、海外に積極的に店舗展開して利益をあげている企業もあります。コストの管理次第で今後の将来性を秘めている事業分野であるといえ、今後のラーメン店市場がどのように変化していくかが注目されます。

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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