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「僕がフジテレビを辞めて台湾でアイドルを目指した理由」映画監督・三原慧悟

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――ファンが増えたとはいえ無料ライブの経験のみで無職になるって、ちょっと無謀な気もしますが……。

三原:最初は大変でしたよ。2016年の3月に会社を辞めたんですが、数か月後に今お世話になっている台湾のYouTuber事務所と契約して、なんとかここまで来れました。今は毎日動画をアップしています。

――Youtuberという職業には誤解や偏見も多いと思います。「親世代が子どもになってほしくない職業」という日刊SPA!の調査でも、ぶっちぎりで不人気でした。

三原:タレントと同じ人気商売ですからね。安定は無いと思います。僕自身はもともと映像が作りたくて、あくまで映像人生の一環としてやっているから、万が一、YouTubeがなくなっても元の映像クリエイターに戻るだけだけど、YouTuberになることが目的の人の将来はどうなるんですかねぇ…。

 もちろんチャレンジするのは良いことですが、その後のビジョンがないと親も不安ですよね。すでに60歳くらいのベテランがいたら、こういう風になろうという未来が描けるんだけど。

 もしくは野球選手からコーチになるように、YouTuberを引退した後のテッパンの行き先があれば親も心配しないかも(笑)。

三原慧悟

その後のビジョンがないと親も不安ですよ

――そこまで言い切ってしまうとは……今、ぶっちゃけ儲かってますか?

三原:え、うーん……。答えづらいですが、去年まではフジテレビの月収のほうが高かったけど、最近は超えてきてます。ただ、結局貰えれば貰えるほど映像を作るのにお金を使っちゃってます。

 最近、またお金が貯まってきているので焦ってますね。貯金って、余力を残して生きてる感じが嫌なんですよ。

――貯金がないと夢追い人らしさが格段に高まりますね(笑)。

三原:今回監督した『台湾より愛をこめて』のストーリーもそうですが、僕は夢を追いかけるとか、青春に憧れてて、それが撮りたいんです。本当に、ちゃんと公開できてよかったです。

 今までにないくらい役者さんも有名な方だし、プロデューサーや社長がいて、脚本も別の方に書いてもらった商業映画なので、客観的にみなさんの満足度を考えながら作りました。ぜひ、夢を追っている人や友達や仲間と上手くいっていない方に観てほしいです。

三原慧悟

夢を追いかける姿や青春に憧れていた

――次回作は映像作家として何を撮りたいですか?

三原:学生時代にとある映画の賞を獲ったとき、有名なドキュメンタリー映画監督から「お前の作品が通るとはな~。全然おもしろくないよ~」と言われたんです。

 その作品はずっと自分のことを撮っている映画だったのですが、その人曰く「カメラを自分に向けてひたすら撮っても、観客はお前には興味がない」と。

 カメラの向きが逆で、自分の外の世界を取るのが映画なのだと説かれたわけですが、正直クソうぜぇなぁって思って(笑)。逆に、興味を持たれる人間になれば文句ないだろうと発奮して、面白い人間になろうとやってきました。

――そこで落ち込まずに反抗できるのはすごいですね。

三原:どうしても自分の出来事を映画にするのが好きなので、やり続けますよ。次は自分のアイドル人生を映画化したいですね。それでいてたくさんの人に楽しんでもらえる、シネコンで全国上映されるような作品を目指したいと思っています。

 自分が映画のストーリーのようなドラマティックな人生を生きれば、自分が原作になれる。だから今は人生を掛けて映画の台本を作っているようで、人生がめちゃくちゃ楽しいです。

三原慧悟

今、人生がめちゃくちゃ楽しいです

 三原監督の原体験が入り混じった”夢追い系男子”たちのロードムービー『台湾より愛をこめて』は新宿シネマカリテほか、名古屋、大阪でも上映中! 主演:大野拓郎、落合モトキ、岡本夏美ほか

【三原慧悟】
1989年生まれ。慶応大学卒業後、新卒でフジテレビ入社。退社後、本格的にYouTuberデビュー。チャンネル登録者数は51万人を突破、台湾でもっとも有名な日本人の一人とされる。本作が商業映画初監督となる。Twitterは@mihara_teikoku

<取材・文/和田まおみ 撮影/加藤岳>

SPA!のキラキラサブカル新米編集者です

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