豚の脳みそ×カエル鍋!?大阪・島之内でディープな“ガチ中華”を食べてみた!

前回の記事で難波のネオ中華街・島之内を紹介した。前回訪れたのはお昼時だったので、火鍋を扱うようなレストランの多くは営業時間外だった。そこで夜の島之内を再訪。前回の街歩きで気になっていた「宏俊 老北京铜锅涮肉」に取材を試みた。北京銅鍋の食体験から、夜の島之内が見せる表情をレポートする。
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炭火と銅鍋が織りなす北京伝統の味わい

5月下旬の日曜日17時過ぎに訪れたのは「宏俊 老北京铜锅涮肉」。開店直後とあって客足はまばらで、3人の店員が入り口の外で座りながらスマホを眺めている。アポなしで訪れたが、優しそうな中年の男性スタッフは取材を快諾してくれた。

ちなみに男性スタッフは東北地方の黒竜江省の出身。この島之内にこの店をオープンしたのは2024年4月とのこと。

店内は手前側に4人がけの席が6カ所、奥には10人ほどが座れる広い座席もある。外にもテーブルがあり、炭火で串焼きなども調理している。

店名にあるように、提供しているメイン料理は北京発祥の「老北京涮羊肉」だ。四川や重慶発祥の辛い火鍋とは見た目が一味違う。

店内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが独特な形状の「铜锅」(銅鍋)。真ん中に筒状の煙突のような部分があり、その周囲を鍋が囲む仕組みになっている。中に炭を入れて、その熱でスープを沸かすのだ。


後から気づいたのだが、スタッフが座っていた付近は炭を準備している場所でもあった。

具材と一緒に火鍋の鍋底(ベースとなるスープ)を注文する。今回はシンプルな白湯鍋を注文した。店員がスープを入れた鍋を運んでくる。

さらにお湯を注ぐと「ジュワッ」という音と共に湯気が立ちのぼる。スープが徐々に沸騰していく様子は見ているだけでも楽しい。

今回は、羊肉、じゃがいも、白菜、エリンギといった野菜に加えて、この店の特色を存分に味わえる食材を選んだ。

それはカエルの足と豚の脳みそ。もちろん、牛肉やぜんまいなど、日本人にも馴染みのある鍋の定番メニューも豊富にそろっているので、初めて訪れる方でも安心だ。
せっかくなので、日本ではなかなか食べることのできない食材に焦点を当てて紹介したい。
意外と普通?カエルの足と豚の脳みそ

まずは羊肉から。炭火の銅鍋でぐらぐら沸かしたスープの中で薄切りの羊肉を数十秒ひたす。

スープ自体はシンプルな味付けなので、そのままだとかなりあっさりしている。

テーブルに置かれた6種類の調味料を加えると味が一変する。刻みにんにく、パクチー、刻みネギ、韭菜花醤(ニラの花のペースト)、腐乳(発酵豆腐)、そしてラー油をお好みでスープに入れ味を付け足す。

本来なら芝麻醤(ごまだれ)をベースにするのが定番だが、調味料だけでも十分おいしい。

続いてウシガエル(食用ガエル)の足。さすがにしゃぶしゃぶというわけにはいかないので、1〜2分ほど鍋に入れたままにしておく。

取り出したときには身が白くなっている。カエルだと思って食べるとインパクトがあるが、味は魚と鶏肉を足して2で割ったような食感だ。

ぶよぶよしているイメージがあるが、肉質は固く、鶏肉に近いと言えるかもしれない。

そして豚の脳みそ。なかなかの迫力だ。

厚みがあるのでしばらく浸しておく。

茹で上がると赤みがなくなって白くなる。味は淡白で白子のような食感だ。柔らかくて特に歯ごたえがあるわけでもなく、かといってとろけるわけでもない。

単体では味気ないので、香味野菜と一緒に食べることをおすすめする。
夜の島之内が見せるもうひとつの顔

後から来た男女2人組は、羊やカエルの串焼きを注文して、夜風を感じながら外で食事を楽しんでいた。

日が落ちて夜も薄暗くなってくると、島之内の街並みがまた違った表情を見せる。

中国語の看板に電気がつき、きらびやかな文字が浮かび上がる。店の前を中国人と思われる旅行客が行き交う。ホテルが多いため、宿を出入りするタイミングでもあるのだろう。昼よりも活気を感じる。
宏俊 老北京铜锅涮肉では、大阪にいながらにして中国の夜の街角を感じられる特別な時間が流れていた。中国の独特な食材、迫力のある銅鍋、炭火が温めるスープの音。いつもとは一味違った中華料理を五感を使って味わいたいときには、ぜひ訪れてみてほしい。
<今回注文したメニュー>
・白湯鍋(スープ):税込968円
・ラム肉:税込1,078円
・牛ガエル:税込878円
・豚の脳:税込1,078円
・白菜:税込528円
・エリンギ:税込528円
・じゃがいも:税込462円
住所:大阪府大阪市中央区島之内2-4-16