ビジネスシーンにおいて、適切な言葉遣いは重要なスキルのひとつ。基本的なビジネス用語を理解していることは、コミュニケーションの円滑化に直結します。本記事では、いまさら人に聞けないけれど、知っておきたいビジネス用語をわかりやすく解説。それぞれの用語が持つ背景や使用されるシチュエーションを押さえておくことで、職場での会話やメールに自信を持てるようになります。今回は防災と関係ある「BCP」の意味のほか、BCP対策やBCP訓練について紹介します。

「BCP」とは企業や組織で緊急事態が発生した際に事業を継続し、迅速に復旧させるための計画

BCPは、Business Continuity Planの略で「事業継続計画」を意味する言葉です。簡単にまとめると、企業や組織が自然災害、テロ攻撃、システム障害、感染症の流行などの緊急事態が発生した際に、中核となる業務を可能な限り継続し、迅速に復旧するための計画のことです。

企業の経営において、不測の事態が発生すると、業務の滞留や事業の継続が困難となる可能性があります。そのため、事前にリスクを特定し、業務継続のための対応策を検討・整備することが求められるでしょう。

BCPは、防災対策とは異なり、「事業の継続」に焦点を当てた計画です。つまり、危機発生時における指揮命令系統の確立、代替手段の確保、復旧プロセスの設定などが重要なポイントとなってくるのです。

BCP対策の例

BCPを確実に実行するために必要なさまざまな対策のことを「BCP対策」といいます。具体的な例としては、下記のような対策が挙げられます。

インフラ対策

インフラ対策としては、耐震性や防火性の高い建物で事業を行う、自家発電設備の設置などが挙げられます。また、一箇所にリスクが集まらないよう、データセンターを分散配置するといった行動も含まれています。

データ・IT対策

データやITへの対策として、業務データのバックアップを常に取り続けたり、クラウドストレージを活用してサーバーへの攻撃に対するリスクを分散することなどが挙げられます。また、最新のセキュリティを導入し、攻撃やウイルスから守ることも対策のひとつです。

人員・組織対策

有事の際は従業員の状況を確認することも企業のBCP対策です。そのため、緊急連絡網を整備しておくことや、出社できない社員がいた場合の代替要員の確保、またリモートワーク環境の整備なども、行っておく必要があるでしょう。

サプライチェーン対策

販売や物流などに関わる企業の場合、サプライチェーン対策もBCP対策として必要不可欠です。例えば、事前にサプライチェーンや主要取引先のリスクを評価し、代替供給ルートを確保しておくことは欠かせません。また物流を多元化し、一箇所に頼らないシステムを構築しておくことが大切です。

資金確保

緊急時には、資金確保も企業にとって重要な対策のひとつです。予備資金や資金枠を確保するといった緊急資金調達手段を確立しておくほか、事業継続に伴う損害をカバーするために、保険への加入なども有効な手立てといえるでしょう。

BCP訓練

BCP訓練とは、策定されたBCPが実際に機能するかを検証するために行う訓練のことです。 実際の緊急事態を想定し、従業員や関係者が適切に対応できるようにすることが目的です。

訓練には、想定される災害や事故について幹部や関係者と議論しながら対策を行うシミュレーションである「机上訓練」と、実際の危機を想定して避難訓練や代替業務を実施する「実動訓練」があります。どちらか一方を強化するのではなく、これらを繰り返しながら、従業員に必要な知識や技能を習得させ、内容に問題がないかを精査していきます。

BCP訓練は実際の緊急事態に、とっさに行動が取れるように行うものであるため、従業員にその意味や目的をしっかりと伝えておくことが大切です。また、実践的な訓練ができるよう、できるだけ災害地や被害状況などを明確に設定することも重要なポイントといえるでしょう。

適切なBCPで、企業や従業員の安心と安全を守ろう

企業は万が一のときに、企業自体を守り、そこで働く従業員を守る義務があります。だからこそ、BCP対策と訓練を繰り返しながら、企業ごとに適切なBCPを準備しておくことが大切です。また、さまざまなBCPシステムも開発されているので、それらを上手に活用しながら効率的な計画の策定や、安心できるシステムの導入を検討しましょう。