ビジネスシーンにおいて、適切な言葉遣いは重要なスキルのひとつ。基本的なビジネス用語を理解していることは、コミュニケーションの円滑化に直結します。本記事では、いまさら人に聞けないけれど、知っておきたいビジネス用語をわかりやすく解説。それぞれの用語が持つ背景や使用されるシチュエーションを押さえておくことで、職場での会話やメールに自信を持てるようになります。今回は「たたき台」の意味や作り方、言い換え方について紹介します。

「たたき台」とは会議での企画案やプレゼン資料の初期案

たたき台は、ビジネスシーンにおいて、会議での企画案やプレゼン資料の初期案のことを指します。暫定的な出発点となるものであり、最終的な形ではないことが大きな特徴で、たたき台をもとにさまざまな意見を反映させながら、きちんとした案としてまとめていきます。

クリエイティブ分野では、小説やデザインのラフ案をたたき台と呼ぶこともあります。どのような分野でも、最終的な目的の入口となる案を指す言葉ということは共通です。

たたき台という言葉の語源は、日本の鍛冶職人が鉄を加工する際に使用する作業台である「たたき台」とされています。たたき台には熱した鉄を乗せて何度も打ち、徐々に刀としての形を整えながら良質な刀に整えていきます。この様子が現在の「たたき台＝議論を重ねて案を磨く」という意味につながったと考えられているのです。

たたき台の言い換え

たたき台という言葉は、いくつかの言葉に言い換えることができます。利用する場面ごとに、最適な言葉を使い分けることも大切です。

一般的な言い換え

一般的な言い換えとして「草案」「試案」「素案」「原案」などが挙げられます。それぞれの言葉の意味は下記のとおりです。

草案：文書や企画の大まかな下書き
試案：試しに考えられた案や暫定的な計画
素案：原案になる前の、大もとの考え
原案：会議などのために作った最初の案で、これをもとに修正や検討が行われる

柔らかい表現での言い換え

日常的な会話やビジネスシーンなどで、やや柔らかい表現として使える言い換えには次のようなものがあります。

ラフ案：大まかな方向性を決めた初期段階の案
下書き：記事や企画の最初の執筆案
ドラフト：修正を前提とした初期段階の案

フォーマルな言い換え

公的な文章や公式な場で使いやすいフォーマルな言い換えやその意味は下記になります。

構想案：計画や戦略の大まかな方針
提案書：具体的な提案をまとめた文書
計画案：具体的な計画の下書き

たたき台の作り方

たたき台は、議論や検討を進めるための初期案であり、完成形ではなく修正や改善を前提としたものです。そのため、シンプルで要点を押さえつつ、柔軟に変更できる設計が求められます。

まずは目的を明確にし、対象範囲を決め、関係者を特定することからスタートしましょう。次に、決めた内容のたたき台を作るために必要な情報を収集します。情報収集の方法として挙げられるのは、社内資料や過去データの参照、インタビューやアンケートの実施などです。また、関連する法律や最新技術、特許情報などの確認が必要な場合もあります。

続いて、たたき台の基本的な構成を決めていきましょう。一般的には「目的・背景」「課題」「提案・仮説」「想定されるメリット・デメリット」「検討するべきポイント」「最終的な予定」などに整理するとわかりやすいです。

たたき台を作成したら、関係者に共有してフィードバックを受け、内容をブラッシュアップしていきます。フィードバックから追加するべき情報を明確にし、議論の結果を反映させましょう。何度か改善や更新を行いながら、最終的な形式に近づけていきます。

たたき台は何度も作りながら慣れていくもの

以上のように、たたき台は最終形ではなく議論のための試案や原案のことであり、柔軟に修正を加えながら完成させていくものです。

ビジネスシーンで提案や企画を行う人にとって欠かせないものではありますが、何度も書いて経験を積むことが大切といえます。そうすることで、よりシンプルかつわかりやすく、質の高いたたき台が作れるようになるはずです。