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副業したい人は要注意!トラブル相談が増えている「サイドビジネス商法」とは?

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副業したい人は要注意!トラブル相談が増えている「サイドビジネス商法」とは?

副業を始めるとなると、トラブルがやはり気になりますよね。実際問題として、どんな人に、どんなトラブルが起きているのでしょうか。

今回は、独立行政法人国民生活センターが行った調査結果を基に、副業にまつわるトラブルとして、どのような問題が発生しているのかをまとめてみました。

副業者数の増加と共に相談も増加

副業業界には、どのようなトラブルが起きているのでしょうか。

消費者行政の司令塔である消費者庁と、地方にある身近な相談窓口の消費生活センター、さらにその間に立つ、消費者のための中核的機関として国民生活センターがあります。

その国民生活センターまとめた調査報告書では、起業・副業(サイドビジネス)をめぐる消費生活センターへの相談として、代表例にサイドビジネス(副業)商法に関連したトラブルがあると書かれています。

サイドビジネス(副業)商法とは「内職・副業(サイドビジネス)になる」「脱サラできる」「この副業をやればもうかる」などの誘い文句で何らかの契約をさせる商法を意味します。

国民生活センターの同調査を見ると、サイドビジネス(副業)商法に関連した相談件数は、2012年(平成24年)~2021年(令和3年)にかけてほぼ右肩上がりで増えているとわかります。

2012年・・・8,800件
2013年・・・8,266件
2014年・・・9,539件
2015年・・・10,705件
2016年・・・11,297件
2017年・・・12,240件
2018年・・・13,225件
2019年・・・13,254件
2020年・・・14,625件
2021年・・・15,454件

総務省の調査結果をまとめた第一生命経済研究所の情報によるとこの時期、副業者数も右肩上がりに増えています。

やる人・やりたい人が増えれば当然、サイドビジネス(副業)商法も盛んになり、サイドビジネス(副業)商法を頼る人が増えれば、何らかのトラブルに遭って相談する人も増えるはずです。

その結果、このような右肩上がりの数字になっているのかもしれません。

相談者の世代は20歳代が最多

では、このサイドビジネス(副業)商法に関する相談は、どのような人から寄せられているのでしょうか。

相談者を男女比で見てもさほど変わらないものの、年齢別で見た場合、圧倒的に20歳代が目立ちます。2021年(令和3年)の情報を見ると、年齢別の相談者の内訳は次のとおりでした。

20歳未満・・・561人
20歳代・・・7,113人
30歳代・・・2,058人
40歳代・・・1,781人
50歳代・・・1,764人
60歳代・・・891人
70歳代・・・489人
80歳代・・・166人

圧倒的に20歳代が多く、その比率は、他の年度も変わりがありません。相談者の6割近くが給与生活者なので、20歳代の会社員が最も、サイドビジネス(副業)商法に関する悩みを抱えている可能性が高いのですね。

第一生命経済研究所のまとめた副業に関する情報を見ると、近年の副業者数の増加を労働人口比で考えた場合、若い世代と高齢者の間で特に、副業者が増えているとわかります。

しかし、サイドビジネス(副業)商法に関する相談を消費生活センターに寄せるメインは若者です。

社会経験の少なさから、疑問に感じる点、トラブルに巻き込まれるケースが多いのでしょうか。

はたまた、人間関係の希薄さが指摘される若者世代が、腹を割ってなんでも相談できる身近な友人をつくれず、周りにストップしてもらえないまま深入りしてしまうからなのでしょうか。

いずれにせよ若者が主に、サイドビジネス(副業)商法に関する相談で、消費生活センターを頼っている現状が見られるようです。

20歳代、会社員、SNSなどを見て副業情報を探している人は注意!?

実際に、サイドビジネス(副業)商法に関連して、どのような相談が寄せられているのでしょうか。

国民生活センターがまとめた調査によると、「販売方法・販売手口・セールスなどに関する相談」「契約・解約に関する相談」がほとんどだといいます。

相談内容の「キーワード」の上位は次のとおり(複数回答項目)

1位・・・解約(46%)
2位・・・返金(41%)
3位・・・インターネット通販(40%)
3位・・・SNS(40%)
5位・・・電子広告(29%)
6位・・・情報商材(25%)
7位・・・電話勧誘(18%)
8位・・・クーリングオフ(17%)
9位・・・高価格・料金(17%)
10位・・・もうからない(16%)

例えば、SNSの広告を見て、副業に関するサポートプランを高額契約し、情報商材を購入したものの、契約書面が交付されず、仕事内容も話と違っているため、消費生活センターに解約したいと相談に来るケースが調査内で紹介されています。

ほかには、「アフィリエイトで簡単にもうかる」というインターネット広告を見て情報商材を契約し、サポートプランにも加入してみたものの、まったく稼げず、事業者と連絡が取れなくなったケースなども紹介されています。

「誰でももうかる」「簡単にもうかる」「もうかるためのサポート、および(または)コンサルティングをする」という誘い文句を真に受けた若者が副業サポートと契約し、トラブルに発展してしまった場合、問題解決に向けての交渉が難航する可能性が高いと、国民生活センターの資料には書かれています。

20歳代、会社員などの給与生活者、SNSなどの広告を見て副業の情報を探している、まさにbizSPA!フレッシュの読者のような方々が最も注意を要する様子。

相談できる人が身の回りにいないという人はせめて、この記事や、国民生活センターが公開する情報を繰り返し参照して、サイドビジネス(副業)商法の負の側面も学び、申し込む前に冷静になりたいですね。

[文/坂本正敬]

[参考]
「消費生活センターにおける解決困難事例の研究~起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済を中心に~」調査報告書 – 国民生活センター(PDF)
急増する「副業者数」の分析~けん引役は高齢者~ – 第一生命経済研究所
消費者行政の仕組みと国民生活センターの役割(PDF)

〈bizSPA!フレッシュ〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。執筆者としては、国内外の媒体に日本語と英語で寄稿。翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近では務める。プライベートでは、PTA広報誌の編集長も兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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