46%の企業が「副業を認めている」一方で受け入れている企業は何%?
近年、生活費や将来の不安に備えるため、副業を希望する人が増加しています。また、収入を補うだけでなく、新たなスキルを身につけたり、趣味を活かしたりする場としても注目される一方で、さまざまな課題やリスクも存在しているのが実情です。そこで、副業に関する調査結果をもとにその実態に迫り、副業を検討する人々にとって有益な情報を提供していきます。
今回は、どのような業界、どのような規模の企業で、副業が認められているのか、逆に、どのような業界で副業の受け入れが進んでいるのかなどを紹介します。
46%の企業が「副業を認めている」
皆さんの会社では、副業は認められていますか?
リクルートの「兼業・副業に関する動向調査2022」には、正社員の会社員に「兼業・副業を認める人事制度の有無」を聞いた項目があります。
「認める制度がある」と答えた人の割合は21.6%。
産業雇用安定センターが2023年(令和5年)に行った「従業員の『副業・兼業』に関するアンケート調査」では、従業員の副業・兼業を認めている企業は全体の25.7%でした。
今後認める予定の企業は6.2%ほどですから、合わせて3割程度が肯定派だとわかります。
さらに、直近の2024年(令和6年)に行われたエン・ジャパンの「副業・兼業」実態調査では、認める割合がさらに大きくなっています。
副業を認めている(17%)一部認めている(29%)企業を合計すると46%が「認めている」側になります。
時代と共に、自社社員の副業を認める会社が増えているとわかります。
兼業・副業を認める企業が漁業の世界で多い理由
上述の結果は、いずれの場合も、多種多様な業種の企業に所属する人事担当者または会社員の意見を一緒くたにまとめて集計しています。
例えば、産業雇用安定センターの調査では、回答企業の業種の内訳は製造業(全回答者のうち43.5%)、サービス業(13.7%)、商業(11%)、建設業(7.5%)、運輸業(4.6%)、金融・保険業(2.9%)、情報通信業(2.8%)などで、さまざまな業種から得た回答をまとめて計算しています。
とはいえ、副業肯定派の数字は当然、業種ごとに違いがあるはずです。業種別で見ると、どの業種が副業・兼業を最も認めているのでしょうか。
その点については、リクルートの「兼業・副業に関する動向調査2022」が参考になります。
「兼業・副業を認める人事制度の有無」が、回答者の勤務先業種別で整理されていて「兼業・副業を認める制度がある」と答えた人の多かった業種は下記のとおりでした。
1位・・・漁業(44.4%)
2位・・・情報通信業(33.9%)
3位・・・金融・保険業(31.1%)
4位・・・生活関連サービス業・娯楽業(29.5%)
5位・・・鉱業・採石業・砂利採取業(26.7%)
兼業・副業を認める制度が漁業の世界では意外にも、整っているケースが多いのですね。
ただ、漁業に関しては、水産資源が漁場に来遊する時期が特定の季節に限定されているなど、1年を通じて安定した収入が得にくい事情も背景にあります。
同じ上位でも、副業・兼業を認める背景が、漁業と情報通信業では大きく異なると考えられます。
副業を受け入れている企業は18%
では、逆に、兼業・副業を受け入れる企業は、どの程度存在するのでしょうか。
自社の社員が副業をしてもいい(人材を送り出してもいい)と考える企業ではなく、外部の副業者を自社に受け入れている(人材を受け入れてもいい)という企業の話です。
その点は、2024年(令和6年)に行われたエン・ジャパンの「副業・兼業」実態調査で明らかにされています。
現在進行形で、副業・兼業で働く人を受け入れているかとの問いに「受け入れている」と回答した企業の人事担当者は18%でした。
「受け入れる予定がある」が4%ですから、全体で2割程度が受け入れ姿勢を見せている計算になります。
同じ企業の人事担当者に「自社の社員の副業・兼業を認めているか?」と聞いた時には、上述したとおり46%が「認めている」と回答しています。
自社の社員が副業をする行為については積極的に認める風潮が生まれつつも、外部から自社に、副業・兼業で働く人を迎え入れようとする機運は、少しだけ盛り上がりに欠ける様子がうかがえます。
パーソル総合研究所の研究員が2023年(令和5年)にリリースしたコラムでも、企業の副業「受入れ」率が、企業の副業「容認」率と比べて低い傾向にあると指摘されています。
もちろん、エン・ジャパンの「副業・兼業」実態調査を見ると、人手不足が深刻なサービス関連業など、一部の業種では受け入れ企業がやや多い状況を確認できます。
しかし、IT・情報処理・インターネット関連、商社、メーカー、不動産・建設関連では、受け入れ企業の割合が、全業種平均の18%を下回っています。
この「受け皿」の少なさが、正社員の副業実施率の伸び悩みの1つになっているとの指摘もあります。
今後は、企業の送り出しだけでなく、受け入れの姿勢がどのように拡大していくかについても注目していきたいですね。
[文/坂本正敬]
[参考]
※ 兼業・副業に関する動向調査データ集2022 – リクルート
※ 従業員の「副業・兼業」に関するアンケート調査結果の概要 – 産業雇用安定センター
※ 漁業における兼業の実態 – 水産庁
※ 副業における最新動向とその課題 ~副業の活性化には「歯車連動型」副業への転換がカギ~ – パーソル総合研究所