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年寄りには期待できない!東京・台湾・イランで若者が求めるリーダーの共通点

学び

選挙から学ぶ海外の若者が求めるリーダーの共通点

インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。

そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、台湾とイランの政治・経済情勢について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。

東京都知事選で新人の石丸伸二氏が躍進

2024年7月7日に東京都知事選が行われ、現職の小池百合子氏がおよそ292万票を獲得して3選を果たした。初めから予想されていたことではあるが、それ以上に大きなインパクトを残したのが元広島県安芸高田市長の新人、石丸伸二氏の躍進だ。

石丸氏は約166万票を獲得して2位となり、つい最近まで立憲民主党の国会議員だった蓮舫氏を上回った。特に支持する政党がない無党派層の得票率で見ると、石丸氏は無党派層の36%から支持を集め、小池氏(32%)を上回り、10代から20代の4割が石丸氏に投票し、年代が下がるにつれ石丸氏への支持が目立つ。仮に30代以下のみで都知事選を行えば、小池氏は負けていただろう。

この背景には、若者たちの既得権益層への根強い不満、不信感がある。政治家たちは、“住みやすい日本にする”“子育て世代を助ける”“女性が働きやすい労働環境を作る”などなど、繰り返し主張するが、実際その多くは実行されておらず、若者たちの政治家への信頼度は低い。そういう若者からすると、“また自民党支持の政治家が立候補したのかよ”という形で、そもそも投票に行こうというモチベーションが下がる。

しかし、民主党でも自民党でもない、与党でもない野党でもない新しい若い世代の立候補者が変革を訴えて現れると、若者たちはそういった若い立候補者が“何かを変えてくれる”との期待を持ち、その人に投票しようとする。それが石丸氏だった。

台湾では若者の多くが第三勢力の民衆党を支持

そして、それは外国でも似たようなものだ。1月に行われた台湾総統選挙では、民進党の頼清徳氏が得票率40%を獲得して勝利し、国民党の侯友宜氏が33%、民衆党の柯文哲氏が26%の得票率となった。

台湾の政治は長年“民進党か国民党か”という時代が続いたが、今回の選挙では民進党でも国民党でもない民衆党が大きく支持を伸ばし、若者の多くが民衆党の候補者に投票した。

台湾の若者たちも経済的課題に直面し、将来への大きな不安を感じており、“既存の政党では何も変わらない”“新しい風が必要だ”との不満が根強く、ここに東京都知事選との大きな共通点がある。

イラン大統領選では改革派が勝利

また、イランでも7月5日に大統領選挙が行われ、改革派のペゼシュキアン氏が1,638万票あまりを獲得し、保守強硬派の候補者に勝利した。イランでは保守強硬派が実権を握ってきたが、イランは米国から経済制裁を受けて国内経済が不安定で、若者たちの経済的不満が強く、その矛先が保守強硬派の政権に向けられてきた。ペゼシュキアン氏は米国からの経済制裁を解除し、イラン経済を立て直すと若者たちの声を聞き入れ、大統領選に勝利したのだ。

東京都知事選と台湾、イランでの国政選挙は一概に比較はできないものの、“年寄り世代には期待できない”“変革が必要だ”という部分で若者たちの想いは同じであり、石丸氏、柯文哲氏、ペゼシュキアン氏が持つ共通点と言えるだろう。

フランスのパリやカンヌなどに留学し、フランスやその他の国々を旅し、ライティング活動を行っている。

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