副業をするなら本業と似た仕事を選ぶ?約8割の人が答えた意外な結果
近年、生活費や将来の不安に備えるため、副業を希望する人が増加しています。また、収入を補うだけでなく、新たなスキルを身につけたり、趣味を活かしたりする場としても注目される一方で、さまざまな課題やリスクも存在しているのが実情です。そこで、副業に関する調査結果をもとにその実態に迫り、副業を検討する人々にとって有益な情報を提供していきます。
副業選びにはいろいろなポイントがありますが、本業と似た副業を選ぶ人はどの程度多いのでしょうか。逆に、本業とかけ離れた副業を選ぶ人はどの程度多いのでしょう。今回は、リクルートの「兼業・副業に関する動向調査」などを基に、本業に似た副業を選ぶ人(あるいはその逆)の比率をまとめました。
兼業と副業の内容が異なる人は8割弱
仮に、副業を始めようと思った場合、本業に似た副業を始めますか? それとも、本業と全く異なる業種で副業を探しますか?
筆者が副業を探すとしたら恐らく(地方に暮らしている点も含めて)、農業、狩猟、干し柿づくりなど、なるべく遠い業種に副業を求める気がしますが、実態はどうなのでしょう。
リクルート(本社:東京都千代田区)の「兼業・副業に関する動向調査データ集2022」には「兼業・副業の仕事内容と主たる職業との関係」を聞いた項目があります。
副業・兼業をやっている人に対し、兼業と副業の関係性を聞いたところ、以下のような結果になっていました(単一回答)。
1位・・・主たる職業の仕事内容とまったく関係がない(51.5%)
2位・・・主たる職業の仕事内容とあまり関係がない(25.6%)
3位・・・主たる職業の仕事内容とよく関係している(13.7%)
4位・・・主たる職業の仕事内容と非常によく関係している(9.2%)
兼業と副業の内容が関係ないと答えた人は全体の77.1%。8割弱といった結果になっています。
過去の調査結果を比較すると調査年度によってばらつきは確認されるものの、全体で見ると、本業と副業では異なる仕事を選ぶ人が多い傾向にあるようです。
エンジニアは本業に似た副業を、事務職は本業と異なる副業を
ただ、この割合は、回答者の本業の種類によって大きく異なる可能性もあります。
企業のミッションや価値観への共感を軸に求職者と企業をマッチングするサービスWantedly(本社:東京都港区)が、同サービスのユーザー1,456人に対し2022年(令和4年)に実施した「コロナ禍の転職と副業に関する調査」では、副業と本業が「近くない(関係ない)」と答えた人の割合が、職種によって大きく違っています。
副業と本業が「近くない(関係ない)」と答えた回答者が多かった職種は、
事務・・・62%
カスタマーサービス・・・50%
営業・・・49%
となっていました。
その一方で、副業と本業が「近くない(関係ない)」と答えた人が少なかった(本業に近い副業を選ぶ傾向が見られる)職種も次のとおり存在します。
エンジニア・・・20%
編集・ライター・・・21%
デザイナー・・・23%
エンジニアや編集者、ライター、デザイナーは、スキルが明確で、案件ごとに出入りしやすいといった特徴があるからかもしれません。
本業と副業で、似た仕事を選ぶか・異なる仕事を選ぶかについては、業種によって大きく異なる可能性も十分にありそうです。
冒頭のリクルートの「兼業・副業に関する動向調査」では、調査対象者の業種が重要視されていません。
年度によって、兼業と副業の内容の遠近に変化が見られる背景には、調査対象者の業種の変化が年度ごとに生じている可能性もありそうですね。
[文/坂本正敬]
[参考]
※ 兼業・副業に関する動向調査データ集2022 – リクルート
※ 兼業・副業に関する動向調査データ集2021 – リクルート
※ 兼業・副業に関する動向調査データ集2020 – リクルート
※ コロナ禍の転職と副業に関する調査 – Wantedly