メンズ向けスキンケアのウソ・ホント!皮膚病薬研究を行う製薬会社に聞いてみた
そろそろ夏。顔の汗や皮脂でベタつきが気になる季節だ。洗顔料や化粧水などを用いて行うスキンケアが必要になりそうだが、男性向けは情報もそれほど多くなく、スキンケア商品の使い方や選び方に素朴な疑問を感じている人も多いのではないだろうか。
そこで今回は、メンズ向けスキンケア製品を手がけており、皮膚病薬研究に取りんでいる製薬会社である全薬グループに在籍する担当者に、メンズスキンケアの噂の真相を聞いた。
目次
Q.朝の洗顔時には洗顔料を使わないほうが良いってホント?
今回、話を聞いたのは、同社の信頼性保証学術部 学術課の武田健太郎氏だ。2023年3月には同グループの全薬工業から、男性特有の肌環境に着目し、男性が求める機能にこだわったジェル状洗顔料やジェル状化粧水などのスキンケアシリーズ「レアリ・ド・ジュレリッチ」が発売された。今回は、その研究・開発による知見と技術をもとに回答してもらった。
全薬販売株式会社 武田健太郎氏
朝は外出した後と比べて汚れていないため、水での洗顔で十分という説がある。これはホント?
A.ウソ
「睡眠中、肌は汚れないと思われがちですが、寝ている間に汗・ホコリ・ダニ・ など、水だけでは落としきれない汚れが肌に付着しています。また皮脂は放置すると酸化し、毛穴の黒ずみやシミの原因になります。特に男性の肌は女性の肌に比べて皮脂量が多いので、朝と夜の1日2回、洗顔料を使って洗うのがおすすめです。
乾燥肌や敏感肌の方は、やさしい使い心地の洗顔料や、フリー処方にこだわっているものを使うのがおすすめです。洗顔の際は、洗顔料を手に取り、やさしく洗ってください」
Q.朝と夜とで、洗顔料を使い分ける必要があるってホント?
たまに、朝と夜とは異なる洗顔料を使ったほうが良いという説を聞くことがある。これはホント?
A.ウソ
「同じ洗顔料で大丈夫です。メイクをされる方は、夜は使用したメイクアイテムに適したメイク落としを使用した後、洗顔料や洗顔石けんなどを使用してください」
Q.ゴシゴシ洗いは肌に良くないってホント?
皮脂が取れにくいと、どうしてもゴシゴシ手で何度もこすってしまうものだ。このゴシゴシ洗いはNGという説をよく見かけるが、ホント?
A.ホント
「特にこれからの季節はベタつきが気になるため、こすったほうが汚れが落ちるような気がしてゴシゴシ洗いがちですが、よくありません。
肌をこすって洗いすぎてしまうと、逆に肌に必要なうるおいまで奪ってしまいます。また、強い摩擦を受けたことで、肌はその刺激に耐えるために表皮を厚くしたり、紫外線を浴びたときのようにメラニンが過剰に生成されてしまう恐れがあります。その結果、乾燥・シワ・たるみの原因につながります。
力加減を調整するのがむずかしい場合は、ジェルタイプのようなすべりの良い洗顔料を使えば、摩擦が起きづらく、肌にも優しいのでおすすめです」
Q.洗顔時、顔を洗う順番はどこからでも良いってホント?
顔のうち、洗うパーツの順番まで指定されると面倒に感じてしまうものだ。どこからでも良いのでは?
A.ウソ
「男性の肌質は、額から鼻にかけての『Tゾーン』がベタつきやすいのに対し、フェイスラインやあご、口周りの『Uゾーン』はカサつくというケースが多いため、それぞれのコンディションに合わせた洗い方をする必要があります。
肌にのせた瞬間から洗浄力を発揮するのが洗顔料。泡が一度汚れを浮き上がらせると、その分、汚れを浮き上がらせる力が減少します。そのため、まずは汚れが気になる部位から洗い、乾燥が気になる箇所はなるべく洗顔料の接している時間が短くなるようにするのがポイントです。肌のコンディションに合わせた洗い方で、洗い上がりの爽快感にも違いが生まれます。
ちなみに、細かな泡であることも洗浄力を発揮するために大切。時間の経過とともに泡が破裂し、洗浄力が落ちていくためです。できるだけ丁寧に泡立てて洗うと良いでしょう」
Q.男性は女性用のスキンケアアイテムを使わないほうがいいってホント?
最近では男性向けのスキンケアアイテムが豊富に市販されているが、女性用は使わないほうがいいのだろうか?
A.ウソ
「男性用、女性用にこだわらず、自分の肌質に合ったアイテムを選ぶことをおすすめします。夏は紫外線、冬は乾燥など、季節ごとに肌が受けやすいダメージの原因が変わるため、それらに合わせたアイテムを使い分けても良いかも知れません。日焼け止めは年中使用することが理想ですが、紫外線の強い夏だけでも使用する、冬はより保湿力の高いアイテムを使用するなど、季節に応じて工夫して使い分けると良いでしょう」
メンズのスキンケアにまつわる噂の真相が明らかになった。ぜひヒントにして、スキンケアがより求められるこれからの季節に役立てたい。
<取材・文/一ノ瀬聡子>
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