ロックダウン中の暇つぶしが本気のビジネスに。ネス湖畔の極小クラフトジン蒸留所
数々の受賞
翌年2022年は、ロンドンドライジンとピンクジンの両方がワールドジンアワードで銀賞を受賞という快挙でスタートし、11月にはスコティッシュジンアワードの3つの部門で最優秀賞を獲得している。
現在のラインアップは、ロンドンドライジン、ピンクジン、インヴァネスジンの3タイプで展開している。昨年8月にリリースしたこのインヴァネスジンは、地元産のシュガーケルプ(昆布)とシャントレル(あんず茸)にフェンネルシード、エルダーフラワーなどを組み合わせたレシピで、バッチNo1が2週間で完売という人気ぶり。
今後の展開
大躍進を続けているグレート・グレン・ディスティラリーだが、現在のところ公式オンラインショップは英国内限定発送。国外では、ベルギーに拠点を置くバイヤーが数ケース購入し、独自のネットショップからEU圏内で販売している程度である。
「本格的に輸出を考えているから、輸出に関するセミナーを受けて勉強することにした。日本の皆さんにも、近い将来ぜひ僕たちのジンを味わって欲しいよ」と野心的な笑顔を見せるドワイヤー氏。
スタッフ数は現在4名。キャンベル氏とドワイヤー氏の創業コンビに、蒸留家見習いの若い女性と、ドワイヤー氏のスーシェフ(副料理長)だった青年の2人が加わった。
ゆくゆくは、ジンだけでなくラム酒やフレーバード・ウォッカ、そしてウイスキー蒸留も目指しているそうだ。となると、20平方メートルちょいにスチル1基ではとうていまかなえない。蒸留所の規模を拡大し、ボタニカルなどの原材料のいくつかを自分たちで栽培するために、新しい場所を探しているという。そうすれば「スコットランド最小の蒸留所」ではなくなるが、「中身」で十二分の実力を発揮しているのだから、もうそれを売りにする必要はないだろう。製造拠点を移しても、彼らの原点である現在の蒸留所は直売ショップ兼テイスティングルームとして残すそうだ。
ネッシーもうなずく(?)美味しさのクラフトジン、果たして日本上陸なるか? それまでの間、スコットランドを旅する機会があれば、ネス湖観光がてらに立ち寄って、その味わいを直に試してみてはいかがだろうか?
<取材・文/ケリー狩野智映 写真/グレート・グレン・ディスティラリー、ケリー狩野智映>
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公式ホームページ:https://www.greatglendistillery.co.uk