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「いきなりタメ口」「今どきこんな不遜な若者いない」それでも人気脚本家が彼らを応援する理由とは?

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左から脚本家の渡辺あやさん、俳優で映画監督の須藤蓮さん

俳優で映画監督の須藤蓮さんが代表を務め、高橋達之真さんがディレクターを務めるヴィンテージショップ「FOL SHOP」が、今年4月にオープンした。古着や雑貨のほか、須藤さんが監督と主演を務めた映画『逆光』のオフィシャルグッズが並び、コーヒーやクラフトビールも楽しめる。場所は、世田谷線・松陰神社前駅近くのビルの2階。昨年話題となった連続ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い―」(22年/カンテレ)の脚本家の渡辺あやさんが、ドラマの脚本料を投じてバックアップしているという。人気脚本家がなぜ20代の若者を応援するのか。須藤さんと渡辺さんを直撃した。

二人は、NHKで放送後に劇場公開もされた「ワンダーウォール」の俳優と脚本家として出会い、コロナ禍に映画『逆光』を自主制作。配給・宣伝も自ら手掛けて全国各地の映画館を共に行脚された間柄。お二人の共同脚本・須藤さん監督第2 作となる『ABYSS アビス』も今秋公開を控えている。

「いきなりタメ口」「ええ根性しとるやないか!」

――年齢も拠点(須藤さんは東京、渡辺さんは島根在住)も異なるお二人が、ここ数年活動を共にされている理由とは?

渡辺:蓮くんは、最初から私にいきなりタメ口をきいてくる若者だったんですよ。私だけにではなく、(現代美術家の)村上隆さんとお会いしても平気でタメ口をきくような(笑)。

――怖いもの知らずというか……(笑)。須藤さんは懐に入り込むのに長けているのでしょうが、場合によっては相手を怒らせるリスクもありますよね?

渡辺:周りからは「鼻折るぞ!」って言われているみたいですけど(笑)、私としてはそれほど不快には感じなかったんですよね。そんな不遜な態度で接してくる気骨のある若者は今どきなかなかいないし、リスクを冒してでもこちらから必死で何か引き出そうとしているというか。ある意味「別に俺のことはいくらでもボコってもらってもいいんで……」という、明確な意思表示にも感じられたので。「ええ根性しとるやないか!」と、こちらも俄然やる気になるわけです。

須藤:それこそ相手が一流のクリエイターであればあるほど、僕は頑なにタメ口で接するようにしてましたから(笑)。これから自分が社会に出て何かしらを成し遂げるにあたっては、まずは自分が憧れている人たちと同じ土俵に立ちたかった。たとえ怒らせてでも彼らの本音を聞き出して、それを糧にしたいという想いがあったんです。

――なるほど(笑)。

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