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『愛の不時着』ってほんと?日本人のイメージって?脱北者が語る本音

暮らし

 2003年に『冬のソナタ』で“ヨン様”フィーバーに沸いた「第1次韓流ブーム」。日韓関係に浮き沈みはあるものの、韓流ブームは細く長く現在まで続いてきた。特に2020年以降は、ステイホーム中の影響で「第4次韓流ブーム」に突入

Netflix

※画像はイメージです

 なかでも特に人気のあったドラマは、韓国の財閥令嬢がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着し、そこで出会った軍の将校と恋に落ちる『愛の不時着』(Netflix)だ。韓国の人気俳優ヒョンビンが北朝鮮の将校を熱演した本ドラマは「第4次韓流ブーム」の火付け役と言っても過言ではない。

 しかし戦争状態にある両国の間で、「愛の不時着」は本当に起こり得るのだろうか? 2007年に北朝鮮から脱北を果たしたキムさん(仮名・55歳)にインタビューしてみた。

北朝鮮から逃げようと思ったきっかけ

――まずは、どうして北朝鮮から他国に逃げようと思ったのか? そのきっかけを教えてください。

キム:はい、ある日、北朝鮮のテレビ番組で、北朝鮮人の女性がインタビューを受けていたんです。彼女は北朝鮮から脱北して日本へ逃げた人だったのですが、その特集を偶然テレビで見て「あ、私も逃げよう」と思いました。

――どうして、そのテレビ番組を見て脱北を決意したんですか?

キム:うまく説明できないのですが、なんだか「逃げられるかもしれない、いや、逃げたい!」って強く思ったんです。その女性は日本の親戚の家に逃げたようですが、結局、北朝鮮政府の説得にあい3年後に北朝鮮に戻りました。私は、北朝鮮が嫌いだったので帰るつもりは毛頭ありませんでした。ただ、あのテレビ番組がきっかけで行動を起こそうと決めたので、彼女にならって日本へ行こうと思ったのです。そこでまずは、中国の瀋陽(しんよう)の日本領事館に逃げようと計画を立て始めました。

安全なルートを選ぶしかなかった

脱北

韓国で出会った日本人の親友(右)と撮った2ショット

――計画は当初日本だったのですね? 韓国へ逃げたとお聞きしましたが。

キム:実は日本へ行こうと思ったのですが、日本の領事館にはもうアリ一匹も入れない状態でした。だから安全なルートを選ぶしかありませんでした。

――安全なルートというものがあるんですか?

キム:安全というか危険度が他より“マシ”なルートというのはあるんです。それは中国人と結婚することです。中国人と結婚するためには警備をかいくぐって北朝鮮から中国に行かなければなりません。当然普通には行けないので夜中、私は仲間と川を泳いで脱北しました。

 北朝鮮は川を挟んで中国の国土に面するところがあるので、中国まで必死に泳いだんです。こうして脱北は成功しました。その後、1年7か月間、中国の田舎に住むちょっと頭の弱い4歳年下の中国人と結婚しつつ、農作業などをして隠れて暮らすことになります。

 必死で働きながら韓国へ逃げる機会をうかがい、韓国に逃げました。中国人と結婚すると北朝鮮人は韓国へ逃げやすかったのです。だから私は中国人と結婚しなければならなかったのです。

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