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元AKB田野優花、“器用貧乏”という悩み「グループで尖っていた時期も」

暮らし

「負けていられない」気持ちも

近江商人

『近江商人、走る!』(C) 2022 KCI LLP

――田野さんは舞台にも多く立っていて、いろんなことができるというのは、俳優の仕事にとっては強みじゃないですか?

田野:確かに! ちょっと救われました。父親に「何か武器になるものをひとつでも身につけろ」とずっと言われて育ってきたので、いまだにないというのが悩みだったんです。父の言っていることも分かるので、どんなに小さなことでも簡単なことでもいいから、これだけは負けないというものを持つこと。それがない自分が悔しくって。

――悔しいという負けず嫌いな気持ち自体も「これは負けない」という武器になるかもしれません。

田野:そうですね。満足しない強みは持っているかもしれません。いつも「負けていられない」といった気持ちはあります。

人間不信に陥って反発した時期も

田野優花

――お父様に褒めてもらったことはありますか? たとえば本作への出演とか。

田野:父親は全然褒めないんです。ただ今回の作品で「お前、いい役もらったな」とは言われました。そのひと言だけかな。本当に厳しくて。そのかわり母親は、私が画面に立っているだけで嬉しくて泣いちゃうみたいです。それに父も絶対喜んでいると思います。

――本作では主人公の銀次が米問屋の大ピンチを、新しいアイデアで乗り切っていきます。田野さんはピンチに陥ったとき、視点を変えて乗り切った経験はありますか?

田野:芸能界に入ったとき、まだ10代前半で何も分からない状態でした。アイドルの世界のことも全然わからないし。どれだけたくさんの大人の方々がバックで助けてくれているのかということも分かっていませんでした。表面的なものしか見えなかったので、ある時期、不信感というか、嫌な気持ちでいっぱいになっちゃったんです。奥にあるものを知ろうとしないで、表面だけを見て、反発して、人が離れていくのを感じました。

 でもそのときにダメだなと気づいて、もっと人と向き合うことを意識するようにしていったら、だんだんと人が戻ってきてくれたんです。自分自身を閉じていたのを、オープンにしてみたらちょっとずつ変わっていったというか。我慢しているときは、ハケ口もわからなくて、しんどくなっていましたが、それ以降は人と楽に接することができるようになったし、状況も客観的に見つめられるようになりました。

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