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人事部長の悩みは“使用されない”男女共同トイレ「女性の理解を得るのが難しい」

学び

解決:グローバル展開ゆえの悩みをどうする?

 大手士業系コンサルティングファーム・名南経営コンサルティング代表取締役副社長で、社会保険労務士法人名南経営の代表社員である大津章敬さんに取材を試みた。

「確かにここ数年、私もこのような問題について企業から相談を受けるケースは増えている」と大津さんは答えた。

「現在の時代状況を鑑みると、事例の企業はグローバル展開をして、社員が多く、自社ビルを保有し、多数のトイレがある状況からしても共同トイレを設置したことは、妥当な判断だと思います。事例では5人の男性とありますが、6500人規模の企業で、しかもグローバル展開をしているならば、ほかに一定数いるように感じます。

 その意味でも正しいアプローチと考えますが、対処法としては例えば2階のトイレは新たに共同に、3階や4階はこれまで通り、男性と女性の別々のトイレとすることができるのではないでしょうか。この企業は身体障がい者の方を多数雇っているようですから、その方たちが使うトイレを男女共同トイレとすることもできうるのかもしれません」

テナント入居する企業はどうすべきか?

大津章敬

社会保険労務士の大津章敬氏

「ただし、こういう対処ができない企業もあります。例えば、テナント(貸しビル)に入り、オフィスを構える企業はその施設管理権がないのですから、独自の判断で共同トイレを設けることは難しいと思われます」

「女性の理解を得るのが難しい、といった人事部長の悩みは私なりに理解できます。一部の女性社員がアンケート調査を通じて疑問や不安を述べたこともわからなくもありません」とも大津さんは指摘する。

「労働安全衛生法には事務所衛生基準規則17条があり、一定の規模以上の事業所は、便所(トイレ)は男性用と女性用に区別することになっています。従って、同社がこれまで男女別々のトイレを設置していたことは当然なのです。共同トイレを設ける場合、解決法のひとつとして社内に事情を説明し、理解を得る試みが必要になるかと思いますが、これがトランスジェンダーと自認する本人に告白を強要することになり、訴訟になったケースもあります。本人が不服として裁判に訴えたところ、差別になるとして企業側が敗訴となったのです」

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