A5ランク松阪牛が数百円で…三重県中心に展開する「ローカル焼肉店」誕生秘話
現地に行かねば楽しめないローカルチェーンの飲食店が注目を集めている。埼玉のロードサイドうどん店「山田うどん」、静岡のハンバーグレストラン「さわやか」がその代表格と言っていいだろう。
三重県松阪市を中心に14店舗展開する焼肉店「一升びん」もそのひとつ。同チェーンの中でも注目したいのが、宮町店。こちらの店舗では松阪牛や和牛、野菜やデザートが回転寿司さながら、コンベアに乗ってくるくると回っている。
世界初の試みである“回転焼肉”誕生のきっかけを代表取締役社長の浅井和夫氏に聞いた。
回転しているからこそのメリットが
「宮町店は5店舗目としてオープンしたのですが、松阪市は狭い街なので、それまでの店舗と同じような店を出しても、お客さんが分散するだけだと思ったんです。そこで、回転寿司からヒントを得た、“回転焼肉”というスタイルで2000年にオープンしました」
生肉がレーンを回っていく様子は、見ていて単純に楽しい。さらに、利用者にとってのメリットはそれだけではないという。
「普通の焼肉店では、メニュー表で部位の名前だけ見ても、どんなお肉かわからないことも多く、注文せずに終わってしまうこともありますよね。一方、回転焼肉であれば、目の前を実物が流れていくので選びやすくなっています」
通常珍しい部位は売れにくいが…
さらに同店では、一皿あたりの量を一般的な焼肉店の半分にすることで、「試しに食べてみよう」チャレンジがしやすくなっている。その分、値段も手頃に抑えられるわけだ。
加えて、利用者ばかりではなく店側にとってもメリットをもたらしているそう。
「宮町店は、松阪牛を一頭買いで仕入れているのですが、通常、一頭買いだとカルビやロースばかり売れて、珍しい部位は売れにくいものです。しかし、レーンに流すことでバランス良く選んでいただけるので、お店にとってもロスが減って助かります」