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楽天「不調の元凶」に改善の余地はあるか。異例の“高利回り社債”発行も

ビジネス

「過去最高の赤字」を上回る?

 楽天は2022年1-9月に2580億円もの赤字を出しました。2021年12月期は過去最高となる1358億円の赤字を出しましたが、今期はそれを大幅に上回る公算が高まりました。

 さらに楽天は2022年1-9月に営業キャッシュフローが4474億円のマイナスとなりました。営業キャッシュフローは、本業でのキャッシュが増えたか減ったかを見るもの。マイナスはキャッシュが不足していることを表します。

楽天

※決算短信より

 楽天が通期で営業キャッシュフローがマイナスに陥ったのは、2009年12月期以来。巨額の損失を計上することよりも、キャッシュが回らないことの方がよほど深刻です

楽天が“キャッシュリッチ企業”は本当か?

 ただし、楽天は2022年9月末時点で4兆5711億円もの現金を保有しています。これだけ豊富な現金を保有していれば、財務状況は極めて安定しているように見えます。

楽天

※決算短信より

 しかし、楽天がキャッシュリッチなのは銀行事業を抱えているため。楽天銀行への預金額はおよそ8兆円で、貸付金(住宅ローンや事業者などへの貸付)は3兆4000億円。それを考慮すると、決して現金が豊富な状態だとは言えません

 楽天は銀行事業以外の借入金が9月末時点で1兆7625億円となりました。前年と比較して4000億円以上増加しています。楽天が巨額の赤字を計上し、本業での資金が回らないほどに追い込まれているのは、モバイル事業への先行投資がかさんでいるからに他なりません

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