毎日トイレ掃除で疲弊。教員からITベンチャーに転職した27歳男性の悲劇
入社から3か月も経たず辞めることに
「そんな状態がずっと続いて、最初に持っていた野望みたいなものはどんどん薄れて行きましたね。もちろん、環境のせいで気持ちが消えるくらい軽い思いだったのか?とも葛藤はしました。単純に、そんな自分が悔しかったんです。でも、やりがいの感じられない雑務の連続でだんだん精神的にもすり減って来てるのが自分でもわかってきて、ここにいたら仕事云々の前に、自分がダメになるなって思いました」
結局、岩田さんは入社から3か月も経たずに会社を辞めることに。
「悔しい気持ちもあったんですけど、教育系スタートアップなのに教育現場を実際に経験した人は僕以外にいなく、社長もお金目当てで走っているところがあって。いや、ちゃんと事前に調べなかった僕にも非があるのはわかってるんですけど、あまりにも外向きでの会社の評判と内実が違いすぎて……」
退職届を提出。社長にぶつけられた一言は…
岩田さんは退職を願い出たときの社長の反応が忘れられないといいます。
「社長に『もう辞めさせていただきます』って伝えたら、『そんなんじゃどこに行っても続かないよ? 俺が怖くなったからやめるの? ま、別に辞めるのはいいんだ』ってヘラヘラしながら言われたんです。絶対に見返してやる、という気持ちになりましたね」
現在、岩田さんは教科書会社に勤務しながら自分で教育系サービスを立ち上げる準備をしているそうです。
その身ひとつで会社を起こし、巨額の資金調達を果たすベンチャーは外見には華々しく映るかもしれません。しかし、その内部をよく見極める必要がありそうです。
-特集・スタートアップ企業苦労話-
<取材・文/尾身宗一郎 イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>