「現場が不公平」が合言葉。日本の“横並び主義”がもたらす同調圧力の正体
「日本人は生産性が低い」。昨今、こんな言葉をよく耳にするようになりました。まるで個々の働き手の責任のようにも感じられますが、生産性の高低は、必ずしも私たち個人の責任ではなく、時代、景気、環境、職場、人間関係……自分の頑張り以外のさまざまな要因が絡み合っています。
これまで400以上の企業・行政機関に携わってきたワークスタイル&組織開発専門家の沢渡あまね氏は、「生産性も働きがいも、仕事は職場が9割」と言います。むやみに自分を責めたりネガティブになる必要はまったくないそうです。今回は沢渡氏の著書『仕事は職場が9割 働くことがラクになる20のヒント』から、一部抜粋・編集してご紹介します。
「無意味な同調圧力」からの卒業
Q:週末、部長にゴルフに誘われました。気乗りしませんが、どうしますか?
A▼部長からの誘いを断ったら後が怖いので参加する。
B▼週末は体を休めたいので参加しない。
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これまで日本を支えてきた製造業。私は日産自動車、NTTデータなどの大手企業の勤務を経て、現在は起業して静岡県浜松市を中心に活動していますが、静岡県、愛知県をはじめとする東海地方は、いわゆる製造業の中心地です。
この製造業によって日本経済は成長しましたが、一方で、「負の遺産」と呼べるものもあります。大量生産、大量消費をベースにした上意下達のピラミッド型組織が引き起こす思考停止や下請け思考、横並び主義などです。
「仕事はみんなで苦しむもの」なる思い込み
「横並び主義」とは、できるだけ周りと足並みを揃えて、異なっていたり、突出した部分を削り取ろうとする考え方です。同調圧力と言い換えてもいいかもしれません。
「現場で働いている人に対して不公平になるから、テレワークはダメだよ」「長期休暇に有給休暇をくっつけて旅行したい? みんな我慢しているし、先輩も我慢してきたのだから、あなただけに認めることはできない」「社外で講演? ダメダメ、全員ができるわけじゃないし」
「働き方改革」と言われて久しいですが、このような企業も、いまだにあるようです。「仕事はみんなで苦しむもの」なる思い込みも、横並び主義の生み出した負の遺産のひとつと言えるでしょう。