競馬会社からIT企業へ。コロナ禍でも東京都競馬が「売り上げ絶好調」の理由
YouTube番組もスタート
もちろん、この数字が青天井で伸び続けるわけではありません。そうなると、シェアの獲得も重要です。
東京都競馬は、YouTubeライブ番組『ウマきゅん』の配信を2021年6月からスタートしました。日替わりの出演者がレース中継を見ながら、予想をライブ配信する番組です。
2022年9月からはSPAT4と「ウマきゅん」が連動した「マルノリ投票」サービスを開始しました。番組出演者の予想と同じ馬券が即購入できるサービスで、サイト上のボタンをクリックだけというわかりやすい仕様にしています。
マーケティングの一歩先を行く東京都競馬
タレントの安田美沙子さんや矢口真里さん、お笑い芸人の元岡野陽一さんなど、一般の人々に馴染みのある人をゲストに呼んでいるのが特徴です。ターゲットを競馬ファンに絞り込みすぎず、馬券購入者の裾野を広げようとしています。マーケティングにおいても一歩先の取り組みです。
東京都競馬は2021年2月に発表した中期経営計画において、5か年で300億円を公営競技セグメントに投じるとしました。大井競馬場の改修などもあるものの、大部分はSPAT4に投じられます。競馬情報を提供するウェブサイトとの連携強化を行い、加入者を増やすといった計画を立てています。
コロナ禍はさまざまな分野でデジタル化のきっかけとなる出来事でしたが、競馬という意外なところでも大変革を起こしました。東京都競馬がその恩恵を多いに受けています。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>