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大手アパレル“世界旗艦店”が4年で閉館!コロナで激動の「小売業界2022」を振り返る

ビジネス

【3】ストライプの世界戦略店舗「hotel koe渋谷」閉館

hotel koe(ホテルコエ)」といっても知らない人が多いかも知れない。それもそのはず、営業していたのはわずか4年ほど。しかし、渋谷の一等地に現れたこのホテルは、国内大手アパレルの世界旗艦店となるべくして生まれたものだった。

 ホテルコエは「earth music&ecology」「アメリカンホリック」などのブランドで知られる大手アパレル「ストライプインターナショナル」(本社:岡山県岡山市)のホテル併設型グローバル旗艦店として2018年2月に開業。渋谷公園通りの一等地・旧パルコPart2の跡地に建設された「ヒューリック渋谷公園通りビル」の核テナントだった。

「koe」はストライプ社の創業20周年を記念したグローバル戦略ブランドで、hotel koeはこのブランドをアピールすべく「ブランドの世界観に触れられる体験型店舗」をコンセプトとしたもの。1階にはブレッド&ダイニング「koé lobby」とイベントスペース「koé space」、2階にはアパレル・雑貨ショップ「koé渋谷店」、そして3階には茶室をコンセプトとしたホテル「hotel koé」(4タイプ10室)を展開した。

コロナ禍の影響をモロに被って…4年で幕切れ

小売業界

渋谷パルコ前にあったストライプのグローバル旗艦店「ホテルKOE渋谷」。コロナ禍のなかわずか4年での幕切れとなった

 アパレルが本業の同社にとって「ホテル併設型店舗」は初で、「都心一等地のホテル」という業態ゆえに、世界戦略ブランドの魅力を全国各地の、そして海外観光客に対してもアピールすることを狙ったものだった

 2019年11月には隣接する渋谷パルコの建て替えも終わり、まさにこれからといったところであったが、「ホテル・飲食店併設」がウリだっただけにコロナ禍の影響をモロに被ったかたちで4年での幕切れとなってしまった。なお、アパレルブランド「KOE」自体も閉店が相次いでおり、店舗網は大きく縮小している。

 日本のブランドによる「ブランドのイメージを体感するホテル」といえば、良品計画(無印良品)による「MUJI HOTEL GINZA」を思い出す人も多いであろうが、果たして今後これに続く企業は現れるのであろうか。もし仮に「ホテルユニクロ」や「ホテルビームス」などが生まれたとしたら――一体どんな内容になるだろうか。

<取材・文・撮影/若杉優貴>

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitter:@toshouken

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