「突出して多い」日本の塩分摂取量。味気ない減塩生活が一変する食器が誕生
健康やダイエットのための「減塩」が必要であることは誰もが理解している。しかし、実際に“減塩生活”を送ろうとすると、薄味の物足りなさに不満を持つのではないか。そんなジレンマを抱える“濃い味派”に朗報だ。
キリンホールディングス株式会社が、電気の力で塩気が1.5倍(※KIRIN調べ、※1)になる食器「エレキソルト」を開発し、2023年に発売する予定だという。発売を前に、実際に筆者が体験し、その仕組みと開発の裏側を、開発チームのメンバーであるKIRIN新規事業グループの佐藤愛さんに聞いた。
ほかの国と比べても「塩分過多」な日本
――和食は薄味のイメージもあります。欧米諸国に比べ、日本人に減塩が必要な理由がピンときません。
佐藤愛さん(以下、佐藤):WHO(世界保健機関)の食塩摂取基準があり、日本人は平均で基準の2倍以上の食塩を摂取しているという結果が出ています。これは欧米や先進諸国と比較しても、突出して多い数字です。イギリスなどは国を挙げて塩分を減らす取り組みを始めていますが、日本はまだそこまで認知されていません。
――味噌や醤油の文化があることが、塩分過多の傾向を作っているんでしょうか。
佐藤:そうだと思います。WHOの基準をすぐに達成するのは難しく、国内では厚生労働省が男性は1日7.5g未満、女性は1日6.5g未満という目標量を定めていますが、それも6割以上の日本人が守れていません。どの世代も今以上に塩分量を減らす必要がありますね。
味に不満を持つ人が多い
――塩分の摂りすぎは高血圧の原因となって、心筋梗塞や脳梗塞などの死につながる病気の引き金にもなるとも言われますね。とはいえ、若い世代にとっては喫緊の課題ではないようにも感じますが。
佐藤:塩分の摂りすぎは、むくみに直結するので、日々の悩みの解消にも減塩が効果的ですよ。
――ネガティブな要素が多いのに、なかなか減塩が進まないのは何故なんでしょうか。
佐藤:調査によれば、減塩を心がけて生活している方の6割以上が何かしらの不満を抱えていて、さらにそのうちの8割の方は、味に対する不満があると回答しています。