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不倫&妊娠で女性社長が辞任…スノーピークに見る同族経営の功罪「収益率が高いが」

ビジネス

同族経営は収益率が高い?

収益性

画像はイメージです(以下同じ)

 それによると、創業家出身のCEOが率いる企業のほうが、外部のCEOがいる企業よりもROAが高いという結果が得られました。また、株式の同族保有比率が高まるとROAが高まる一方、保有比率が一定水準を超えるとROAが低下することを示しました。

 ROA(総資産利益率)とは、純利益を総資産で除した数値。会社が持っているすべての資産を使い、どれだけ効率的に利益を出しているのかがわかります。つまり、効率性と収益性を表す指標です。この研究では、同族経営のほうが効率的に収益を出していることが示されたのです

 興味深いのは、同族の株式の保有比率によるROAの違い。同族がある程度までの支配力を持つことでROAを高めることができるものの、支配力が強くなりすぎると逆の現象が起こると言うのです。このことから、一定の外部の圧力にさらされることによって会社の効率性や収益性が上がることがわかります。

安全性を重視して投資を抑制する傾向が

 その一面が垣間見える研究があります。日本の上場企業の同族経営と非同族経営を分析したもので、同族経営は安全性が高く、役員に対する報酬が多いという結果が得られたのです(矢部謙介氏「日本におけるファミリービジネスの財務的特徴」)。

 つまり、同族経営は経営の安全性を重視し、内部留保を厚く抑えて自己資本比率を引き上げている傾向があると言います。裏を返せば、会社の成長を促進する設備投資や従業員の給与の引き上げ、株主への配当よりも、内部留保を重視している可能性が高いことになります。

 そして役員報酬も高い傾向にあり、会社の利益を創業家に配分している様子がうかがえます。同族の支配力が強くなりすぎると、この傾向に拍車がかかってROAが低下するという仮説が成り立ちます。

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