社長不倫辞任の「スノーピーク」が今後も安泰なワケ。アウトドア企業3社の現在地
スノーピーク:キャンプブーム×ブランド力で続伸
株式会社スノーピークはキャンプ用のウェアやテント、コップなどアウトドア用品全般を扱う企業です。「Snow Peak」ブランドとして知られる同社の製品は直営店や自社EC、アウトドア用品店で販売されています。製品群は高品質、シンプルなデザインが特徴で、アウトドア版「無印良品」のような印象を与えます。
創業家の3代目として社長に就任した山井梨沙代表氏が、既婚男性との交際、妊娠を理由として9月に突然辞任したことも記憶に新しいですが、業績は絶好調。2018/12期から2021/12期までの業績は次の通りで、なんと16期連続で売上高過去最高を更新し続けています。
【株式会社スノーピーク(2018/12期~2021/12期)】
売上高:121億円→143億円→168億円→257億円
営業利益:9.2億円→9.2億円→14.9億円→38.2億円
最終利益:4.8億円→4.3億円→10.5億円→27.3億円
過去最高を更新した2021/12期
2019/12期は天候不順などアウトドア業界にとってマイナス要因がありましたが、同社は増収を維持しました。近年のアウトドア人気に対応すべくキャンプ初心者向けのエントリー製品を投入したところ、売れ行きが好調だったようです。特に自社EC、卸ECともにオンライン販売も好調となりました。なお、利益面では海外拠点構築や人件費のベアもあり、増収ながらも利益は横ばいとなりました。
2020/12期はコロナでキャンプ場の閉鎖が相次いだものの、夏以降は密を避けられるレジャーとしてキャンプが人気となり、同社製品の人気もあいまって増収を維持しました。海外事業もアウトドア人気で増収となっています。
2021/12期は自粛ムードがもとに戻るなか、キャンプ人気がさらに加速し、同社にとって追い風となりました。直営店の好調の他、消費者の客足が戻ったことで他社チェーンに対する卸販売も大きく伸びたようです。全社売上高は約90億円も増え、売上高・営業利益・最終利益ともに過去最高を更新しました。
近年の業績は好調が続いていますが、要因はキャンプ人気だけでは片づけられません。高い品質に加え、実用的な設計、そしてシックなデザインが現代の消費者の思考にマッチしていると考えられます。なお、今後は2024/12期までの地域別売上高国内296億円、欧米90億円、アジア84億円達成を目標としています。紆余曲折を経て新社長となった先代社長の山井太氏の手腕に注目が集まります。