急激な円安で資金繰りが悪化「もう限界!」高級ブランド品輸入業者の悲痛な叫び
止まらない円安。中小企業はコスト増加に悲鳴を上げている。客離れを心配して、コストを価格に転嫁できないなか、円安倒産が記録的な件数に。このまま倒産件数は増えるのか? 円安に苦しむ現場の声を届ける。
インバウンド需要はまったく期待できない
「もう限界です!」。そう悲痛な叫び声を上げるのは、高級ブランド品の輸入業者の木下大輔氏(仮名・40代)だ。20年前に事業を立ち上げてから順調に拡大し、都内に複数の店舗も所有している。ところが、目下の急激な円安で一転し、資金繰りが悪化しているという。
「ウチはヨーロッパから服やバッグなどのブランド品や雑貨を輸入し、販売しています。半年前は1ユーロ=130円だったのが、144円に(取材時点)。正規店の日本定価の65掛け程度で仕入れてきていた品物が、いまでは75掛けから90掛けに値上がりしています。これではとても利益が出ない」
「少し安いからというだけでは買ってくれない」
とはいえ、円安になれば海外の旅行者にとっては日本で自国より安いブランド品を買い漁る好機である。
「爆買いをしていた中国人たちの姿はもう見かけなくなりました。個人的には中国のバブルははじけたと思っています。店に来ても商品を眺めているだけ。ほかの国の人もそう。世界的に買い控えの状況。すでに不景気に入っていると思う。
世界中が物価高に喘いでいるし、ここ数年の値上がりにもうお客さんがついていけなくなっている。円安で少し安いからというだけでは買ってくれない。外国人観光客が戻ってもインバウド需要は期待できません」
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