ブラック企業を退職してコンビニへ…自尊心を取り戻した24歳女性のバイト生活
コンビニでの仕事が自尊心の回復に
けれど、この勤務が藤堂さんの心を取り戻すキッカケになります。オーナー夫妻をはじめ、アルバイトやパートの人たちもやさしくアットホーム。シフトを決めるとき、掃除や仕事のやり方について話し合うときも、よく藤堂さんに意見を聞いてくれたのです。
「最初は前職でのことが思い出されて、自分の意見なんて言えませんでした。向こうが求めている答えとは違う意見を言った途端に態度がガラリと変わるのではないかとか、気がついたら孤立しているのではないかと、すごく怖かったです」
しばらくはそういった状況が続いた藤堂さんでしたが、職場の人たちと接していくうちに、「だんだんと自分の意見が伝えられるようになっていった」と言います。そして、勇気を出してはじめて伝えた自分の意見が尊重されたことも大きかったとか。
「自分の意見と言っても、大したことではありません。それに、提案がすべて通ったわけでもないのです。でも、私の意見に耳を傾け、尊重してくれたことが嬉しく、自尊心の回復につながったのだと思います」
環境を変えてみるのもひとつの手段
きちんと自分の意見を伝えられたことがキッカケで、前職のときに折れてしまっていた心も徐々に回復。最初は無感情なロボットのように働くことを目指していた藤堂さんでしたが、いつの間にか、働くことが楽しいと感じられるようになっていました。
「少しずつですが、これから先の人生について考えられるようになってきました。いま置かれている状況でパフォーマンスを発揮できないと悩んでいる人は、思い切って環境を変えてみるのもひとつの手段かもしれません」
コンビニでの勤務をキッカケに、やる気や自信を取り戻した藤堂さん。いまの環境下で頑張ることも大切ですが、いろいろな対策を講じても改善されない場合もあります。そんなときは藤堂さんの言うように、いちど環境を変えてみるのもひとつの手段と言えるでしょう。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/葉月しあ(@shia_lifestyle)>