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接待での失敗に学んだ夜…ギンギラギンで“さり気なくなかった”役員<常見陽平>

学び

 そのキャバクラからは会社にはがきでお礼状が届いた。「札幌でのエキサイティングな夜は、いかがでしたか?」という文面が丸見えで、いつの間にか課で回覧されていた。

 もともとは上司の命令で行ったのだが「こいつ、札幌で遊びやがって」という微妙な空気が課で流れてしまった。結局、約1年通って大口の取引を復活させた。最後は、先方の役員まで登場し、大接待をしてくれた。

 二次会はクラブだった。先方の役員が「常見さん、おっぱいさわりませんか?」と言ってきた。「いや、そういう店じゃないだろ」と思い、うぶな私は固辞したが、役員は本当に胸を触り、チューまで始めた。

 私は、近藤真彦(マッチさん)の『ギンギラギンにさりげなく』を熱唱してその場を和ませようとしたが、役員のボディタッチはギンギラギンだったが、まったくさり気なくなかった

『ギンギラギンにさりげなく』(レーベル:RCA)

 接待でキャバクラに行ったのは、後にも先にもこの顧客だけだった。

 なお、いまでは上司が部下の意向を無視してキャバクラに連れて行くのは、男同士だとしてもセクハラだと言われる時代である。人生には「いざ、キャバクラ!」という時があるのだということを学んだ。

 保身のために言うと、私がキャバクラに行った回数は両手で数えられるほどだ。教員になってからは行っていない。しかし、こういうしょうもない経験ができたことには感謝もしたりする。

酒びたりで失敗しまくる

 思えば、20~30代は酒ばかり飲んでいた。一時は、週末は朝から飲んでいた。今思うと、アルコール依存症だったのかもしれない。

「仕事×酒」で大失敗した件といえば、セミナー寝飛ばし事件というものだ。会社員時代、顧客向けセミナーで講師をする機会がよくあった。小田原で13時からセミナー講師をする予定だったのだが、起きたら11時ということがあった。

 前の晩、営業マンと懇親を深めるために4時まで銀座でカラオケだったのだ。出張帰りで2時まで働いていたのにも関わらずだ。銀座でベンツCクラスの個人タクシーに乗った瞬間、記憶が飛ぶ。当時、住んでいた新松戸のデザイナーズマンションについた瞬間、運転手さんは「おい、お湯をバケツにくんでこい」と言う。

 客に向けて「おい」かよと思ったら、見事に窓から催していて、嘔吐物だらけだった。なんどもお湯をはこび、謝罪した。その後、横になったら昼だったのだ。

 会社からの電話で「ぎゃー!」と叫んだ。すぐに着替え電車に乗り込んだ。先輩からさらに電話がかかってきた。「お前、死ぬなよ」。あたたかさに泣けた。結局、電車を乗り継ぎ小田原に13時すぎについた。先輩が奇跡的に代打を務め、セミナーは無事開催されていた。営業マンたちの優しさが痛かった。

 他にも、酒びたり時代は、出張先で泥酔し、タクシーにプロジェクターを忘れて、紛失したこともあった。マネージャーが便宜を図ってくれ、全額弁償は免れたが、当時のお金で15万円くらいは払ったと思う。思い出したくないくらいミスだらけだった。

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