なぜ信じてしまう？理解しがたい信者の理論

※画像はイメージです（以下同じ）

――私には信者のかたたちの理論がよくわからないです。

阿部：統一教会の人って、アベルという上役の信者から指示されて嘘をつく場合があるんですよ。あれは一般の人からすると理解しがたいと思うんですけど、我々とは善悪の基準が違うんですね。我々は、善と悪の基準を今まで培ってきたその常識とか良心とか、倫理観に基づいて決めますよね。

　統一教会の人たちは「神」が基準なんです。神の教えに沿っていれば善で、神の教えに沿っていなければ悪。だから嘘をついて入信させても、「入信させた」という大なるを善をなすための悪だから、差し引きで善なんです。

　嘘を付いてでも入信させれば、それが自分や家族、先祖のためになると教え込まれている。だから、信者のかたは、それが自分や家族、先祖のためになると思って、救おうと思って嘘を付いているんです。統一教会の信者のかたは、もともと人一倍真面目で家族思いのかたが多いといいます。

献金も本人の意志なら問題ない？

――信仰にハマると、考え方が根本から変わってしまうわけですね。

阿部：カルト被害は、さまざまな被害の複合なんです。お金を取られただけではなくて、労働力を搾取されたり、被害に遭った期間の人生を奪われる。それがたとえば10年なら10年を奪われたようなものです。

　抜けた後も回復には時間がかかります。単純に我々弁護士が入って、お金が戻って来たからといって元に戻れるというわけじゃないんですね。おかしな宗教団体に入ってしまうと、人生の一部分を失ってしまうリスクがあります。

――一部の人たちは、献金も本人の意志なら問題ないと言っています。

阿部：霊感商法は違法ですから、そこを分かってないとすれば理解の不足ですね。タレントがテレビで「統一教会は反社会的団体や違法な団体だと認定されたわけではない」と言っていたようですが、それは認識不足です。そもそも政府が反社会的団体を認定するような制度はありませんし、解散命令も簡単には認められません。

　裁判所も繰り返しさまざまな裁判で統一教会の行為を違法だと判断しています。悪い団体だと言うことは疑いがないんです。