「誰にもわかってもらえない」孤独の淵にいた25歳男性を救ったきっかけとは
真剣に悩んでいる彼女を勇気づけたい!
真剣に悩んでいる様子の美緒さんを勇気づけたいと、瀧倉さんも真摯に耳を傾けたと言います。そして2人で話せる通話アプリなどでも関係を深めながら、少しずつ、ほかのメンバーには言えなかった自分の孤独な気持ちを真剣に打ち明けるようになります。
「ネットという広い空間があったからこそ、自分と同じような境遇の人と知り合うことができたのです。奇跡のようだと思いました。お互いに、これまでずっと抱えていた劣等感や孤独な気持ちを話し、受け止めあえたことで気持ちがスッと軽くなったのです」
2人でいろいろと話すうち、劣等感や孤独に苛まれて生活しなければならないほど、お互いに落ちこぼれていないことを自覚。少しずつ自信を取り戻していきました。そして、身の丈に合わない憧れの場所に就職できてしまったことも原因かもしれないと思えてきたのです。
「僕が美緒さんに発した言葉も、美緒さんが僕に言ってくれたことも、同じ想いをして同じように苦しんだ相手からの真剣なアドバイスだったからこそお互いの心に響いたと思いました。そして、お互いに、もう一度頑張ってみようと思えたのです」
ネットの世界で救われた結果
まずは2人とも、自信をつけるところからスタート。週3回程度で短時間のアルバイトをしながら資格取得に向け、頑張りはじめました。疎遠になっていた家族とも顔を合わせる機会ができ、挨拶をするようになり、いまではいっしょに食卓を囲むまでに。
「美緒さんには、実際に会ったことはありません。でも、美緒さんと繋がれてよかったと思いますし、リアルにいる誰よりも心強い存在です。現代に、地域や年齢に関係なく誰とでも知り合えるネットのようなツールがあってよかったとも思っています」
使い方を間違えると人の心を傷つけることもある現代のツールですが、救われる人がいることも事実。孤独を感じたら、リアルな世界だけでなく、いろいろな世界に目を向けてみてもいいかもしれません。
―特集・若者の孤独―
<TEXT/夏川夏実 イラスト/葉月しあ(@shia_lifestyle)>