河合楽器は過去最高益に。楽器業界3社の「V字回復」を支える“海外要因”
河合楽器:ピアノ生産が主事業
河合楽器と聞けばピアノを思い浮かべるように、同社はピアノ生産を主事業とする企業です。
なお、セグメントは(1)楽器教育事業と(2)素材加工事業に分かれており、(1)ではピアノ生産のほかに音楽教室の運営、音楽ソフトウェアの販売を行っています。(2)では意外にも金属加工や自動車内装部品向けの塗装を手がけており、同事業ではピアノ生産で培ってきた加工技術を応用しているようです。近年(2019/3期~2022/3期)の業績は次の通りです。
【株式会社河合楽器製作所(2019/3期~2022/3期)】
売上高:724億円→713億円→675億円→857億円
営業利益:36.7億円→29.6億円→34.9億円→67.0億円
最終利益:20.1億円→15.5億円→25.8億円→50.5億円
楽器教育事業:586億円→570億円→551億円→690億円
素材加工事業:106億円→96億円→91億円→114億円
巣ごもり需要で反発した業績
2020/3期は国内、中国、欧州においてピアノの中でも高付加価値製品群の売れ行きがが堅調に推移しました。が、河合楽器は海外売上比率が4割と海外への依存度が高く、同年度は円高であったためヤマハ同様に全社業績は軟調となりました。(2)事業については自動車内装部品の受注減少が影響しているようです。
コロナ禍となる2021/3期では(1)事業において電子ピアノが伸びたものの、各国における外出規制や楽器店の休業が影響して減収となりました。国内では楽器教室の休講も業績悪化に影響しています。一方で活動の縮小が経費削減につながり、利益面では増益となっています。
翌2022/3期は売上高が大幅に伸び、これに伴って利益も増加しました。(1)事業ではウィズコロナの生活が定着したことで巣ごもり需要が拡大し、楽器販売が全世界で好調となりました。音楽教室事業の正常化も同事業のV字回復に寄与しています。(2)事業についても半導体関連部品、自動車関連部品の受注が堅調となり、業績が回復しました。
河合楽器もヤマハ同様、2020/3期は為替要因、2021/3期はコロナの影響で業績が悪化したものの、翌2022/3期は巣ごもり需要によって過去最高の利益をたたき出しており、ヤマハ以上に業績が回復しています。