27歳で年収1000万円、不動産マン「#全宅ツイ」の優雅すぎる住環境
「控えめに言って超最高」な郊外生活を選択した男
都市部を選好した前出の2人とは対象的に、紆余曲折を経て郊外の生活を選んでいるのが、ハンドルネーム「かずお君」(@kazuo57)さん(30代)です。お仕事は「建物建てたり、地主さんのお世話したり、受話器を部下の頭にガムテープで固定したりと色々忙しい日々を過ごしています(笑)」(本人談)とのこと。
新卒の時にどの会社に入社するかで不動産キャリアの8割は決まって、どの部署に行くかで残りの2割が決まる。今日、地所の入社式に立っている青年と、エブイルお花茶屋支店に迎えられた若者の不動産人生が逆転する可能性は宝くじに当たる確率より低い。
— かずお君 (@kazuo57) 2018年4月1日
「社会人最初の2年間は城北にある会社の寮(月2万円)暮らしでした。毎日外で酒を呑んで帰り、寮でも同僚と酒を呑み、掃除もろくにしないゴミ溜めみたいな部屋に住んでました」
その後、結婚をキッカケに、城南エリアの一種低層地域に建つ2LDKの低層賃貸マンションに引っ越したとか。さぞかし住環境が改善されたと思いきや「思い出があまりない」と。その理由は?
「というのも、独身時代と同じで、ほぼ毎日呑みに行く生活を送ってたので、自宅での思い出があまりありません。閑静で良い住宅街だったのですが……」
「20代中盤にして“尿酸値8超倶楽部”の入会が許可された」と語ります。そんな不摂生な生活に嫌気が差して、
「自分が本当に好きなことはなんだろう? と真剣に考えた結果、『年間150回くらい海で遊びたい」という、まるで小学生のような理由で引っ越しを決意しました。1ミリも地縁のない湘南の海まで徒歩圏の新築分譲マンションに転居しました」
人生の大胆な決断に要した期間は1か月だというから驚きです。引越し後、数年経った現在の生活の感想を聞くと「控えめに言って超最高」とのこと。
「もともと私は自然と遊ぶのが大好きで、こうした遊びは条件が整ってないと楽しめないんですよね。たとえば、波があるときでないと、波乗りはできないし、釣りも水温や潮回りによって釣果が大きく影響されます。
だから、『やりたい』と思ったときに、すぐにそれができる環境を手に入れたのは本当に正解でした。東京に住んでいる釣友にいつも言ってます、『最強の釣具は家だ』って」
趣味を満喫できる理想的な生活に満足している様子です。唯一のネックは「都内で酒を飲むと我が家に帰るのがダルくなる事」だそうで、都内での別邸確保に意欲をのぞかせます。
ストイック(?)なニート生活で種銭を作った男
不動産業界におけるエンドの立ち位置から語ってくれたのが、賃貸業を営むハンドルネーム「どエンド君」(@mikumo_hk)さん(アラフォー)です。
お洒落な新築アパートは若者が入居してせわしなく引っ越すから募集経費ばかりかかってたまらないけど、築古で中高年の多いアパートはほとんど入退去がないので好きです。
— どエンド君 (@mikumo_hk) 2018年3月31日
現在の生活は「アパートやスナックを借金して買って、店子さんからもらう家賃でローンを返して、いくらか残ったお金で暮らしています」(本人談)。
「結婚するまで東京都下の実家暮らしだったので、『一人暮らしをしたかったなー』という思いはありますね。事情があって20代は無職時代が長かったので、家賃がかからない実家生活に救われました。
西武池袋線が本気を出すとものすごい速度が出るので、意外と都心へのアクセスも楽でした。
悪かった点は無職であることを、家族がチクチク指摘するので居心地が悪いことくらいです。よく徒歩20分かけて駅前のミスドに行き、日がな一日図書館で借りた本を読んでいました」
20代で身に付けたストイック(?)な生活習慣が、後の種銭作りに役立っているのかもしれません。
無職のたまり場と化したカオス物件だった男
今回の回答者で最年長となるのがアラフィフの不動産ブローカー、ハンドルネーム「あくのふどうさん」(@yellowsheep)氏。少なからずバブルの恩恵を受けた20代を振り返えってもらいました。
おそらく来週辺りから早朝のスクランブル交差点で、気合系業態に就職した新人達の絶叫自己紹介が始めるはずだ。あれが生産性に繋がるのか私にはわからない。ただ風物詩的ではある。新人の頃、徹夜明けに宮益坂を同僚と降っていたら、ビルの上から絶叫朝礼が降ってきた。同僚と笑いが止まらなかった。
— あくのふどうさん (@yellowsheep) 2018年4月2日
「20代の頃、悪行がたたって実家を追われ、東急系の私鉄沿線に住んでいました。元事務所を改修して風呂・トイレをつけた物件で、家賃8万円で広さが50平方メートルもあって、お得でした」
大家さんのご子息がバンドマンだったので、「何時にどれだけ音をだしても大丈夫」と言われたことが、即日契約の決め手になったといいます。
しかし、一人暮らしにはあまりにも広すぎるこの物件。やがて友人のたまり場となる運命に。
「低IQがより低いIQを召喚するスパイラルが発生し、週末ともなれば桁違いにIQの低いパーティーが催されました。自宅手前の交差点からでも奇っ怪なテクノサウンドが漏れ聴こえる状態でした」
類は友を呼ぶ。物件にはあくの氏の交友範囲を飛び越えたゲストたちが出入りするように。
「いつしか建物の内階段にはスモーキーな外国人が座り込み『ニホンハ キノコガ ゴウホウダケド ニュージーランドハ ダメダヨ』と、女性の肩を抱きながらささやいているカオス空間が完成していました」
やがて週末に来た友人が帰らなくなり、平日も常に誰かいる雑居状態となったといいます。
「友人たちの就業状況を興味本位で調べてみたら30人中28人が無職。自称・個人事業主の何でも屋さん(実質無職)を除けば、私だけがど底辺の不動産業者で農奴のようにしこしこ働いている有様でした」
退廃的な生活に引きずられたのか、後にあくのふどうさん氏も会社を追われる憂き目にあったそうです。
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五者五様だった不動産エピソード。不動産は、それだけ個別要素が強い商品である現れです。
不動産のプロでも若かりし頃は部屋選びの失敗も経験しているケースもありました。その失敗すら糧とすることで今日の地位を築いているのかもしれませんね。
<取材・文/栗林篤>