海外では賞金20億円超えも…。当事者が語った「日本でe-Sportsが普及しない」理由
「ゲームが上手い」を誇れる社会に
ほかには「ゲーム=子供のもの」という認識が日本におけるe-Sports振興を妨げていると板垣氏は分析する。
その解決の一助としてポノスでは「正社員ゲーマー制度」という業界でも珍しい取り組みをしている。平常時は正社員として働きながら、プロゲーマーとしての大会参加が業務より優先されるという制度で、アスリートを企業が支援する「スポーツの実業団」と類似した制度である。
「プロゲーマーは食える」という認識が広がれば、それに憧れる人や応援する人も現れる。裾野が広がり、ゲームを楽しむ人が増えれば業界全体が盛り上がるというのがポノス社の狙いだ。
「ゲームが上手いことが自慢になる世の中にしていきたい」(板垣氏)
ポノスのゲーマ正社員制度を利用してゲーム実況者としても活躍する「トンピ?」氏は「プロゲーマーの試合の様子を動画で観戦する”動画勢”という楽しみ方もある。ほかのプロスポーツ同様、お気に入りの選手を見つけることから、ゲームを観戦する喜びを知ってほしい」と、語る。
’20年の東京五輪でe-Sportsのエキシビジョンも?
’22年に中国杭州で開催されるアジア競技大会では、e-Sportsが正式なメダル種目になることをアジアオリンピック評議会が発表。
’24年のパリ五輪でも「e-Sportsの正式種目化に期待する」という声明が国際オリンピック委員会(IOC)から出ており期待は高まる。
もしかしたらそれに先立つかたちで、’20年の東京オリンピックでエキシビションとしてプロゲーマーの活躍を目にする日が来るかもしれない。団体統一により動き出した日本のe-Sportsシーン、’18年が変革の年となるか。
<取材・文/栗林 篤>
12