恋したリケジョは「コンドームの開発者」。いきなり試作品を手渡されるお仕事
湘南ゴム工業株式会社で営業担当として働く砂上(さがみ)くんが社内で一目惚れしたのは、ミステリアスな理系女子ムスブさん。そんな彼女の仕事はコンドームの開発で……。
ゲッサンで連載されている『あそこではたらくムスブさん』(小学館)は、ピュアで誠実な恋愛描写に加え、取材に基づいたリアリティのあるお仕事描写で、知られざるコンドーム開発の現場を描いている。
今回、作者のモリタイシさん(@moritai4)にインタビューを敢行し、前編は誕生の経緯や取材の裏話に迫る。また、インタビューと共に、『ムスブさん』の第1話を紹介する。ぜひ最後まで目を通していただきたい。
【後半の記事】⇒≪新商品は“カリブト君”…コンドーム「開発現場」のピュアな恋愛事情≫を読む
当初は男性主人公ではなかった
――『ムスブさん』連載までの経緯をお聞きしてもいいですか? なぜ、コンドームの開発現場を舞台に選んだのでしょうか?
モリタイシ(以下、モリ):前作が終了して次回作を考えている時にゲッサンの編集長(当時)から「コンドームとかどう?」と気軽な感じで提案してもらったのがきっかけですね。集英社で『ラジエーションハウス』を連載することが決まっていたので、両立を考えて『ムスブさん』はゲッサンで月10ページという形で連載することになりました。
――企画の段階から現在のようなお仕事×純愛路線だったのですか?
モリ:純愛ものというより、冴えない男主人公ものというか(笑)。当初は男性主人公ではなく、複数の女性キャラクターたちが一緒にコンドームを開発するという方向性で考えていました。でも、ウケそうなものを「だいたいこんな感じかな?」でやるのは危険だなと思い直して。結局自分がやりやすいスタイルでスタートしました。
取材でコンドームを作った
――執筆するにあたってどのような取材をしましたか?
モリ:コンドームの大手メーカーである相模ゴム工業株式会社さんに取材させてもらいました。すごくオープンというか、普段から工場見学もやられてる会社さんで。僕も工場を見せてもらったり、研究者の方に話を聞いたりしました。あとは、コンドームの製造を体験しました。普段機械でやる工程を手作業でやらせてもらって。コーティング加工は省略しているので実際に使うことはできないそうですが、今でも記念に未開封で取ってあります。