モテたくて芸能界に興味をもった

――これまで俳優としてお仕事をされてきたなかで、特に素敵だなと感じた先輩や共演者がいましたら教えてください。

醍醐：上白石萌音ちゃん（舞台『千と千尋の神隠し』）の現場での居方はとても素敵だと思いました。いるだけでマイナスイオンを発していて、仏様みたいなんです。全員に分け隔てなく愛を注ぐみたいに接していて、頭に立つ人間としてこういう在り方があるんだなと間近で見させていただきました。僕には出せない空気感だと思うので、本当にすごいなと思いました。

――醍醐さんの俳優としてのスタートは、中学生のころにご自身で事務所に履歴書を送ったことですが、興味を持ったらすぐに行動するタイプなのでしょうか。高校、大学に行ってから考えてもいいなとは思いませんでしたか？

醍醐：中学の頃に友人たちが色々と将来やりたいことを見つけていっていたんです。そうした中で、なんとなく高校に行くのは嫌で「何か見つけなきゃ！」と思っていました。ちょうどそんなときに友達から「芸能界は？」と言われて、当時モテたかったので、いいなと思って、自分で入る方法を調べて動きました。

エキストラ経験でハングリー精神を学んだ

(C) 2022「野球部に花束を」製作委員会

――モテたい気持ちが原動力になっていたんですね。でもその出発点から、いきなり舞台『弱虫ペダル』での主演デビューは大変だったのでは？

醍醐：いきなりじゃないんです。それまでに約1年くらいエキストラなどをしていました。その時期にハングリー精神を育めたと思います。役者を志している者としては悔しい思いをたくさんしましたから。

　キャストの方々を見ながら、「俺もあっち側に行きたい、行くんだ！」と常に思っていました。あのときの気持ちが、今も自分を動かす力になっています。僕が目指していたのは、メインとして立つ俳優だったので、その環境で慣れ合ってしまったらよくないと思って、距離を置いたりしていました。

――こうして初主演映画も公開になったわけですが、ハングリー精神のほかに、ずっと持っていたい思いはありますか？

醍醐：人間力のある人でいたいです。たぶん僕、調子に乗りやすい性格なんです（笑）。でも周りにへし折ってくれる人がたくさんいます。マネージャーさんはもちろん、地元の友達も、何かよくないことがあれば自分に対して指摘してくれます。とても有難いことだと思います。何事にも真摯に、真っ白な気持ちで向き合う姿勢でいようと思っています。