“ワーキングプア予備軍”をLINEで支援する「相談インフラ」。運営者に聞いた
自分の給与に満足している人は、一体どのくらいいるのだろうか。こんなに働いても報われないことに対して、一抹の不安を覚える人もいるはず。
市民団体「公務非正規女性全国ネットワーク」は、2021年4月から2022年3月の間に非正規公務員を対象にアンケートを実施した。それによると、回答者の多くが「雇用が不安定」と回答しており、将来が不安だという人が9割にものぼった。
株式会社Compass(コンパス)は「日本からワーキングプアをなくす」というミッションを掲げ、元外資系メーカー勤務の大津愛氏が2017年に立ち上げた。前後編にわたるインタビューで、まずは具体的な事業内容について話を聞いた。
キャリアステージが変わる時に着目
そもそもCompassではどのような事業を行っているのか。大津氏は「年収200万円未満で働いても、なかなか貧困から抜け出せないワーキングプアの人たちに対し、キャリアアップや生活安定のサポートをしています」と語る。
「例えば病気になったり、引っ越したり、嫌なことがあってメンタルがしんどくなってしまったりなど、いろいろなキャリアステージが変わるときがくると思うんです。それが良いきっかけになれば生活水準は上がりますが、そうでない場合、貧困状態になってしまう人もいます。私たちは『貧困に陥る直前』でサポートできることにこだわって、相談サービスを運営しています」
コロナ後のワーキングプア層は変わったのか聞いてみたところ「ニーズは右肩上がりになっているのですが、男女比も半々とあまり変わりません」とのこと。
ハローワークに代わるLINEの無料相談
ワーキングプアの明確な基準はないが、一般的には年収200万円未満(月収15万円程度の世帯)を指す。しかし、大津氏は「年収500万円でもなる可能性がある」と指摘。そんな人たちに対して、CompassはITを用いた相談サービスを行っている。
それがLINEのチャットボット「CHOICE!」だ。「コロナで生活が苦しい」「生活水準を上げたい」などの求職者がLINEでオンライン相談ができる。
「CHOICE!は誰でも気軽に相談できるような『相談のインフラ』を作りたくて、開発したものです。ハローワークには情報相談の支援窓口がたくさんあるのですが、そういった情報がなかなか求職者に周知されず、行き届かないなと感じました。
また、稼ぐためには東京に行かないとならないというような、地域労働就労の問題を解決したかった。そこで、まずはオンラインでマーケティングと組み合わせて、相談できる窓口を作ろうと思いました。CHOICE!は誰でも専門のキャリアカウンセラーにつながるのが特徴です」