「新聞配達で学費を稼いだ」“サウナ起業家”が語る、商売の原体験と目標
“ひとりで運営”にこだわる理由
――これからもひとりで運営していく予定なのですね。ひとりで運営する1番の理由はなんなのでしょうか?
瀬尾:ひとりでやっていく1番の理由は、「ひとりでやれるサイズの事業ができる」ということなんですよね。例えばサウナタイムパスで、会員が1年間で1000人にしかならなかったと考えても、僕ひとりだったら全然賄えるんです。そう考えると、100人中1人、2人が満足してくれるサイトを作ることに集中することができるんですよ。
仮にもし組織を持って、もっと収益を出さなきゃと考えると100人中、70〜80人が満足してくれるサイトを作らなきゃいけないと思うんですよね。たぶん、その能力は僕にはないんですよ。ただ、100人中1~2人が「これ、めっちゃいいね!」って言ってくれる尖ったサイトを作ることはできると思います。
それが尖ったままでいるには、尖ることが許される事業サイズであるべきかなと思うんです。1人だと失敗しても損は自分で被るだけですし。自分のキャパシティを越えることをすると、ほころびが出てくるんです。
あと、人を使うのが苦手というのはあります。人と仕事をすることができないわけではないんですよ。まぁ、人を使うのが苦手というよりは、自分に対して「自己責任論」が強い人間ではあるんです。会社をクビになったら、それは実力が伴わなかった自分の責任。独立して失敗したら、それは努力を怠った自分の責任。良くも悪くも自己責任感が強いんです。
“考えて商売すること”を学んだ幼少期
――なぜそんなに“自己責任”という考えが強くなったのでしょうか?
瀬尾:そういう人生を歩んできたからでしょうか。生まれた時から貧しくて、父親もいなくて、学校に行くお金も自分で稼がなきゃいけなかったんです。小学生のときからビラを配って、中学生から新聞配達をしてたっていう。大学に行くお金がなかったら、それは大学に行くまでにお金を作ってこなかった自分の責任。最終的に頼れるのは自分という考えになりました。
母は実家で八百屋をやっているんですけど、雨が降ったら飛び起きて袋に野菜を詰めて、近所に売り歩きに行くんです。それで配達費ということで値段を少しかさ増しするんですよ、雨が降ったらそれはビジネスチャンスだと。そうやって考えて商売をするっていう姿を見てきたんですよね。