「新聞配達で学費を稼いだ」“サウナ起業家”が語る、商売の原体験と目標
当時は家に帰れなくなってサウナに
――それは本当に大変だったでしょうね。
瀬尾:はい。会社は銀座で自宅は藤沢だったんですが、(残業も多く)終電がなく家に帰れなくなってしまったんです。当時、自分の仕事場のキャビネットをガラッと引くと、ずらっと着替えや洗面道具があって、それを持って近場のサウナに行って泊まる、というのをくり返していたんです。
サウナにずっと夜から深夜まで入っていると、心の疲れとか体の疲れとかが溶けてくるんです。それで、疲れたり追い込まれたりしたら、サウナに行くっていうのをくり返してたら、週5日とかで行くようになったんです。気づいたらTOBした会社との戦いというのも、どんどんこなせるようになってきて、サウナのおかげで無事生きながらえたというか……。
そこからサウナがすごく好きになりましたね。サウナに頼るようになったというか。それがなかったらボロボロになっていたかも知れないな、と思います。
サウナで負の感情が洗い流されていく
――そんなにサウナって変わるものなんですか? いわゆる「ととのう」ものでしょうか?
瀬尾:サウナに入って気持ちよくなると、悩んでいることとか、そもそもどうでもよくなってくるというか……。細かいことを気にし過ぎてたと、大局で物事を考えるようになるんですよね。
「あの人のアレが傷ついた」「この人のこの発言が悲しかった」っていう細かいことが、事業として上手く行っているのか、そもそも生きているだけで丸儲けだよねとか、すごい大局的になりますね。「気持ちいい」という感情で負の感情が流されていくのかなと、当時は思っていました。
――ひとりで運営されているとのことですが、大変じゃないでしょうか?
瀬尾:大変です(笑)。でも、それがいいというか。じゃあ組織を作ろうという考えには全くならないです。すべての温浴施設に自分で営業に行っています。コロナ禍の影響で、リモートでの打ち合わせに抵抗がない方も増えてきました。なかには“来なきゃダメ”という所もありますが、自分は行ったらサウナに入れるし、大歓迎なので(笑)。