クリエイターが食べていくには?“創作を支援する”弁護士に聞いた必要条件
移住という選択肢を持つだけで月20万円
――となると、「好き」を仕事にすると、ずっと貧乏生活でも仕方がない?
山田:それで言うと、創作と切り離して、今自分がやっていることとは全く別に、お金を稼ぐ方法を考えたほうが早い可能性があります。創作の技術をお金にしようとしているから、貧乏生活が続いているのかもしれない。ビジネスを別に作って、全然違うところでお金を稼ぎに行ってもいいはずです。
――目的と手段ですか、明解ですね。でも創作をやめたとしても就職やバイトに受からないと結局は稼げないのでは……。
山田:稼ぐ=バイトや就職だけではなくて、ほんとうにたくさん選択肢があるんです。例えば「地域おこし協力隊」など、移住という選択肢を持つだけで、月20万円もらえたりします。みんな創作やバイト、就職でお金を稼がなければいけないという縛りがあるせいで、苦しむんですよ。
みんな固定観念に縛られて「もったいない」
山田:違うんです。全部の欲求を分けるんです。「創作をしたい」「有名になりたい」「お金が欲しい」。全部違う欲求なので、全部違う形で実現すればいいんです。ちゃんと分けて相談してもらえたら、僕は手段がもっと浮かびますよ。これをずっと言っているんですけれど、みんな固定観念に縛られているので、もったいないなと思っています。
――すごいですね、ぽろぽろといろんなものが落ちて、そして将来大丈夫なような気がしてきました。
山田:そう、大丈夫ですよ。将来は針が抜けたら、絶対に大丈夫なんです。そのためのスキルを身につけようというのが、この本で一番言いたいことなんです。
<取材・文/和久井香菜子>
【山田邦明 やまだ・くにあき】
クリエイターパートナー事業を展開する「しろしinc.」CEO。岡山県津山市出身。京都大学法科大学院を卒業後、スタートアップ向け法律事務所で弁護士として活動。知的財産や資金調達に関する契約業務などに従事。その後エンターテインメント会社アカツキに初期からジョイン。管理部門の立ち上げ、IPO業務の主担当として、上場に貢献