UberEats配達員のツラい体験談。高校生から「うわ、かわいそ〜」と嘲笑
6月2日、とあるTwitterユーザーがUberEatsを利用したときのエピソードを綴ったツイートが話題となった。UberEatsで「(注文した品を)玄関先に置く」を設定したところ、届いた品物の下にメッセージの書かれた紙が敷かれていたという。
そこには注文へのお礼とともに「地べたに食べ物を置くのに抵抗がありこのような紙を敷かせていただきました ※私個人で作成したものであり UberEATSとは関係ございません 商品をお取り頂いたら捨てて頂いて大丈夫です」といったメッセージが印刷されており、その配達員の思いやりに「嬉しくなった」という。
このツイートは20万以上のいいねがつき、「資源(紙)の無駄」などの批判もありつつ、基本的には“ほっこりネタ”としてもてはやされた。
しかしフードデリバリーの仕事は、ときに理不尽なことも多くあるようだ。今回は東京都内でUberEats配達員として働く筆者が、他の配達員のエピソードも取材した。
生活費を稼ぐために…44歳フード配達員
前職はIT関連の仕事をしていたが、若い人材に押されて仕事を続けられなくなり、今はUberEatsをはじめとしたフードデリバリーの仕事で生活を維持しているという須藤伸也さん(仮名・44歳)は、「惨めな気持ちになるこも多い」と話す。
「以前のようなIT関連の仕事はもうできないと思います。喘息の持病もあり、年に数回は今も救急外来にいきます。納期を守らないといけない仕事は今はできません」
そう話す伸也さんは薬の副作用で仕事に集中できないことも多く、体調がすぐれない日も多い。そのため、生活費を稼ぐためにやむなくフードデリバリーを始めたのだ。
高校生から「うさ晴らし」の標的に
しかし、フードデリバリーを始めてから、今まで味わうこともなかった気持ちになる出来事に遭遇した。
「はじめは自転車で配達を始めました。回数をかさねて慣れてきましたが、雨の日にカッパを着てずぶ濡れで配達していたとき、通りすがりに傘をさした数人の高校生から『うわぁ可哀そ~。ああなったら死にてーよな』と馬鹿にするように言われたんです。何か言い返そうとも思いましたが、フードデリバリーサービスのクレーム窓口に通報されるのが嫌だったので我慢しました……」
須藤さんは配達を始めて2か月ほどで、配達用の原付バイクを購入した。
「普通自動車免許のみで二輪免許は持っていないので、中古の原付をヤフオクで落札しました。いざ原付で走ってみるとキープレフト走行、二段階右折、制限速度30キロと原付特有のルールのせいで大変な思いをします……。特に制限速度に関しては、悪法と言っていいと僕は思います。30キロで走るなど現実的ではなく、警察の取り締まりを常に恐れながらの配達になりました」