結婚前に彼氏の悪行が発覚!警察に突き出されずに済んだ上司の温情
戻って来ることはなかった彼氏
けれど、キャバクラ時代や同棲をはじめてからの金遣いを思い返し、庄野さんは変な汗が滲み出てきます。それでもまだ、「先生の説明がよく聞き取れていないのでは?」と自分を疑っていました。
「でも先生は、『各金融会社へは最初の通知を送ったのみで、債務整理の手続きも手つかずのままという案件がほとんど。1年以上ほったらかしにされていた依頼主が状況を聞こうと、司法書士事務所に連絡したことから、祥さんの使い込みが発覚した』と言うのです」
日中にそういう事態が発生したため、先生はすぐに祥さんに電話。出先で仕事をしていた祥さんは「帰ったら事情を説明します」と言ったものの、戻って来ることはなかったと先生は説明します。
「先生のことは祥さんから『口下手でおとなしく、前に出るタイプではなかったため、お客様の紹介などで細々だったけれど堅実に1人でやってきた人』だと聞いていましたし、『だからこそ、先生の力になりたい』と、いつも言っていました。それなのに……」
ノコノコと帰ってきたところを確保
依頼者を次々と獲得した反面、経理を担当していた先生の奥さんまでもうまく丸め込み、事務所のお金にも手をつけていたことが発覚。先生はすぐに祥さんを紹介した共通の知人に連絡。詳しい情報が得られず、ありとあらゆる人に声をかけて捜索中だと話します。
「先生は私に、何も知らないフリをして祥に電話をしてほしいと頼みました。先生が嘘をついているとは思えなかったので、協力することにしたのです。そして、ノコノコと帰ってきた祥を先生が確保。祥は、元地元の名士だという実家の父に泣いて助けを求めていました」
父親が不動産を処分して賠償することで話がつき、どうにか警察沙汰は免れましたが、庄野さんは同棲を解消。結婚も取りやめた庄野さんは「この人、どこにそんなお金があるのだろう? と違和感を覚えたときは、疑ってかかることをおすすめします」と語ってくれました。
しばらく恋愛はしたくないと話す庄野さんですが、結婚する前に祥さんの悪行を知ることができ、むしろラッキーだったのかもしれません。結婚する相手のことは、「好き」というベールを剥がしてじっくりと観察したいものですね。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/本田しずまる(@hondashizumaru)>