失敗を慰めてくれる課長に依存して…憧れの会社を退職した女性の後悔
異動したくなかった理由は…
田丸さんが営業として成果を上げるのは難しいと考えた経営陣は、総務部への異動など、あの手この手で田丸さんのために手を尽くしてくれました。が、田丸さんは「ここで結果を出したい」と断ったそうです。
「それは本心ではありませんでした。他の部署に行っても、課長のように慰めてくれる上司がいるとは限らないので、移りたくなかったんです」
ですが、ただ慰めてもらうことを求める日々が、長く続くわけがありませんでした。
「ある時から、相談しても冷たくあしらわれるようになりました。『営業としてがんばりたいなら、結果を出せ』ときつめの口調で言われました。社会人として当たり前のことだと思います。でも、その時の自分は依存しきっていたので、その言葉に大きなショックを受けました」
広告を見るだけで自己嫌悪に
頼る先を失った田丸さんは、徐々に会社を休むようになり、最終的には退職することに。悩みごとがなくなったはずが、実は辞めた後のほうが辛かったそうです。
「ずっと思い焦がれた企業にせっかく就職できたのに、諦めてしまった後悔がすごかったです。辞める選択を回避する方法はいくらでもあったはずなのに。毎日のように深い後悔に襲われました。何もする気になれなくて、しばらく、ぼんやりしながら過ごしていました。何か月かそうしていて、このままでヤバイと思ってようやく転職することにしました」
現在は業務用の機械メーカーの営業事務をしている田丸さん。前職を退職してから3年ほど経ちますが、今もその企業の広告を目にするたびに、動悸が激しくなり、ひどい自己嫌悪に陥るそうです。
-[特集・会社を辞めて大変だったこと]-
<TEXT/和泉太郎 イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>