元男性の“トランス女性”が語る、知ることの大切さ「求められるものは違う」
女性が“エレベーターで男性と2人きりになる”と警戒感を抱くということがネットで話題になった。このシチュエーションに対する自身の体験を踏まえた見解をツイートし、2.2万リツイート、7万いいね(※2022年5月2日時点)を獲得し、注目を集めたのがトランス女性の山本ペリさん(@party_othman)だ。
山本ペリさんは、「私は20代前半に性別を変えて(男性→女性)手術して帰ってきた月に今まで入られたことない泥棒に入られた(中略)22時頃歩いて帰ってたら急に知らない男に抱きつかれてちゅーをせがまれた(中略)身長も体重も中身も全く同じ人間が、女性に見える恰好で生活するだけでこんなにも急激に犯罪に合う」とツイートし、反響を呼んだ。
インタビュー前半では、性転換した経緯やそれに対する周りの反応などについて話をうかがった。後半も引き続き、女性になって感じた変化や同じMtF(※MaletoFemaleの略。男性という性に生まれたものの女性として生きることを望む、トランスジェンダーの人のこと)の人たちに伝えたいことなどを話してもらった。
男の人に声をかけられる
――男性から女性になって気がついたことや変わったことはどんなことですか?
山本ペリ:男の時って歩いていても、男の人とは目が合わないんですよ。でも、ゲイタウンに近づくと目が合うんです。自分の恋愛ゾーンにいる人をつい目で見ているんですよ。女性になってからは、道行く男の人とよく目が合うんです。
あと、酔っ払って電車で寝ちゃうと「お姉さん、大丈夫? 送って行こうか」って声をかけられるんです。それがまだ解せなくて。だって私としては何も変わっていないから。男だった時は声をかけられなかったんですよ。
それと私、元からひとりでバーも行くんですけど、男の時は声かけられなかったのに、女になってひとりで飲んでたら声をかけられるんですよ。男の人って女の人の人生に絡んで来ようとするんです。
女性なら背筋を伸ばせ
――女性になって、男性に関わろうとされる出来事が増えたんですね。じゃあ女性になってペリさんが変えなきゃいけなかったことってありますか?
山本ペリ:まず男だったときは「内股に歩くな」って言われて育ったワケですよ。ビックリすることがあっても「キャーとか言うな」って言われたり。でも、今は「股閉じろ」って言われるワケじゃないですか。意味わかんないですよね。誰も教えてくれないし。
「背筋を伸ばせ」も言われます。親でもない知り合いとかに言われます。でも、男が猫背にしていても何も言われないと思うんですよ。それが女性になって猫背になってたら「もうちょっと背筋伸ばしたほうがいいよ」って会社の上司とかも言うじゃないですか。
あとは言葉遣い。「うるせーな」って言う女性はあまりいないですよね。(前は)丁寧な言葉遣いをすると怒られていたワケですから。あとは、食べ方とかカバンの中がごちゃごちゃなことを指摘されたり……。親に言われるなら分かるけど、(女性になってからは)そういうことを知り合いにも言われます。どんだけ女性たちは努力してるんだって感じです。